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勉強 ページ28

気の向くままにデータ管理室に行く。

 暇を潰す時にはここが最適だ。摩訶不思議な幻想体達の話を読むのはとても面白い。まあ、予知夢では何度も彼らに殺されているんだけど。

 それを予防するためにも、定期的にここに来てデータを読み漁っているのだ。

「あ、これこの前の幻想体じゃない?」

「A-723-Y……うん、みたいだね。仲間を増やす事があるらしいよ。あの怪物達はA-723-Y-1かな?」

 カーソルを動かして、次から次へと閲覧可能データを斜め読みする。

 一口に幻想体と言っても、平然を人を喰らう凶暴なものから、大人しい気質のものまで様々のようだ。情報災害を引き起こす古書のA-286-Y、少年型人形である反幻想存在のA-420-G、物知りな巨大魚のB-002-Y……。

 報告書に添付されている、異常性抹消処理のされた写真を眺めながら、欠伸を一つ。データを見るのは楽しいんだけど、やたらと難解に書かれてて、なかなか理解に時間がかかる。

「華璃ちゃん、ちょっと売店行ってくるけど何かいる?」

 画面とにらめっこしていると、カチュアが管理室を出ようとしているところだった。そういえば小腹も空いてきたし、喉だって渇いたなぁ。

 紅茶かジュースにしようかな。珈琲は苦いから苦手だし。折角だから、軽食に菓子パンとかクッキーとかも欲しい。あ、そういえば、売店には小さいタルト売ってたっけ。折角だし、あれにしてもらおうかな。

 で、それらに合わせるとするなら、やっぱり紅茶だろうか。あったかいのにしよう。

「チョコタルトかベリータルトのどっちかと、あと紅茶おねがーい。あったかいやつで!」

「オッケー。なかったら適当に買ってくるけど良い?」

「うん、それでおねがーい。あ、でも珈琲はやめてね。珈琲牛乳なら許す!」

「はーい、行ってきまーす」

「いってらー」

 たったと駆けていくカチュアの足音は、自動扉が閉まると共に聞こえなくなる。カチュアは足が速いし、すぐに戻ってくるんじゃないかな。

不安→←給餌



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作者名:ミクミキ | 作者ホームページ:http  
作成日時:2020年3月5日 13時

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