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外伝30 ページ44

薄い布を何枚も重ねて作られた白のドレスを着たジェベリアは鏡の前でくるりと一回転する。レースの裾がふわりと揺れる。

 ようやくお気に召した服を見つけられたらしい彼女は家でその服を着ていた。鏡の中のジェベリアはまるで本物の天使のようであった。中身はこんなにひどいアバズレ悪魔だってのにね、とクスクス笑いながら、ジェベリアは服を片付ける。次にこの服を着るのは月末に開催される予定のハロウィンパーティーだ。

 ふとジェベリアはジョンがどんな仮装をするのか気になった。ジョンはあまりハロウィンに興味がないのか、ハロウィンの話題を出さない。ハロウィンパーティーに出席するかどうかすら分からなかった。去年はどうだったろうか。ジェベリアは過去にジョンがパーティーに参加していたかを思い出そうとした。

 確か、参加していた……と、思う。営業部の社員全員に、袋に入った菓子と一輪の花を贈っていた記憶があった。その時は……吸血鬼か何かの仮装をしていたはずだ。半ば無理矢理着せられたような形で。ジェベリアは魔女の仮装をして、ジョンをからかったり、彼から更に菓子を巻き上げたりしていた。

 今年はどんな仮装をするのだろう。いや、もしかしたら仮装はしないかもしれない。別に仮装は義務ではないからだ。去年のパーティーでも、何人かは普段着のままだった。

 ジョンは今年も仮装するだろうか、しないだろうか。してくれたら嬉しいなとジェベリアは思ったが、ジョンの素敵な仮装姿を見て恋慕するようなやつらが出てきたら困る。喉の奥からぐるると獣の唸りをあげて、ジェベリアは服をタンスにしまいこんだ。

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(プロフ) - 素晴らしいお話、ありがとうございます。楽しみに待っています (2021年7月22日 13時) (レス) id: 1f55a4bce5 (このIDを非表示/違反報告)
つーちゃん - ください (2021年7月4日 14時) (レス) id: 84f4461b32 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミクミキ | 作者ホームページ:http  
作成日時:2021年5月28日 23時

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