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外伝17 ページ31

「ダーリンは座ってて。配膳は私がするから」

 部屋着に着替え、食卓の準備をしようとしたジョンにジェベリアはそう言った。

 昨日の夜から仕込んでいた鍋をジェベリアは味見する。今晩はビーフシチューだ。ビーフシチュー、とはいうが牛肉は使われていない。芳醇な赤ワインのコクと、とっておきの隠し味(・・・・・・・・・)が決め手。具はじゃがいも、人参、玉ねぎにグリーンピースといったオーソドックスなものだ。

 ジョンは配膳されたビーフシチューをスプーンで一口掬って食べた。ジェベリアはそれを緊張した顔で見つめる。

 料理を作るのはいつもジョンで、ジェベリアは料理の経験があまりなかった。うまくできたはずだ。味見だってちゃんとした。とても美味しかったし。

 だが一つ問題がある。それは、ジョンとジェベリアの味覚の差異を考慮する事をジェベリアは忘れていた事だ。

 ジョンは少し微妙な顔をしていた。彼はいつも笑顔で、今も笑顔を浮かべてこそいるものの、わずかながら眉間にしわがよっている。ジェベリアは泣きそうになったとまではいかないものの、そこそこにショックを受けたらしい。

「天使ちゃん」

「な、何よ。美味しくないならそう言いなさいよ」

「血を入れすぎだよ、少し生臭すぎる」

 隠し味の入れすぎが良くなかったらしい。ジェベリアは小さく唸った。美味しくできたはずなのにと思っているのだろう。拗ねている様子だ。

 ジェベリアの考えはこうだった。ジョンに首輪をつけてほしいが、それには対価が必要だ。そしてこのビーフシチューはその対価にするつもりだったのである。しかし味はあまり良くなかったらしい。とっても美味しい隠し味をたっぷり入れたはずなのに。

「料理は今度教えてあげるから」

「うん……」

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(プロフ) - 素晴らしいお話、ありがとうございます。楽しみに待っています (2021年7月22日 13時) (レス) id: 1f55a4bce5 (このIDを非表示/違反報告)
つーちゃん - ください (2021年7月4日 14時) (レス) id: 84f4461b32 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミクミキ | 作者ホームページ:http  
作成日時:2021年5月28日 23時

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