フォビアコンプレックス2 (ページ10)

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第五十八話　レヴィアタンページ10

アルラウネ種は、基本的に食用として養殖されている唯一のゼロ生物。

　だからこそ、その危険性は遺伝子操作により徹底的に排除されていった。

　原初のアルラウネ種は、とても賢く利己的で、高い能力を持っていた。だがそれは食用としては不適だという事で、養殖のアルラウネ種からはその知能が失われてしまっている。

　けど、目の前のアルラウネ種は、そうじゃない。天然物の、非常に希少なアルラウネ種だ。ならば、実験するしかないじゃないか！

　ワタシは昔から気になっていた事がある。

　絶望によって死んだゼロ生物は種によって様々な様子を見せる。

　ウンディーネ種は全身がどろどろに溶けて、最後には水になってしまった。

　バンシー種は眼球が抜け落ちて、そこから生命維持に必要な血液が大量に流れ出た。

　他にも見てきた。見るためにたくさん殺した。でも、アルラウネ種だけは見た事がなかったのだ。

　だから、知りたかった。

「キミは妹と夫を取り戻したがっていた。だから、東区を発展させた。そうだよね？でも、もういいんだよ。その必要はもうなくなった。キミは開放されたんだから」

　絶望させたい。絶望の果てに死んだ彼女は、いったいどんな顔をしてくれるだろうか？どんな風に死んでくれるのだろうか？

「キミの妹と夫は死んだよ」

　笑い出したいのを堪えながら、ワタシは彼女にそう告げた。