第八十話 ジョバンナ ページ33
あのクソ野郎、帰ったら殺してやる。
わけも分からないままにあたしは両足を膝から切り落とされ、見た事のない場所に放置された。見るからにスラムというような、フィクションでしか見た事のないような場所に。
その後、いかにもなチンピラに長い髪を掴まれて引きずられていった。それから先はどうなったかって?言いたくもないね。あいつら、あたしを東区統治者と勘違いして、げらげら笑いながらあたしを嬲り者にした。両手も切り落とされた。くそったれ。
思い出したくもない行為がかなりの時間続いた。具体的にどのくらいかは分からなかった。スラムに時計なんてありゃしなかったからな。
多分、一週間くらいだったかな。唐突にあたしは解放された。詳しくは知らないが、たまたま通りかかった西区からの旅行者があたしを見つけたんだと。その後、あたしをいたぶったスラムのやつらがどうなったのかは知らない。処罰でもされてくれてりゃ良いんだが。
他にも良い事はあった。正義感の強い西区があたしを病院に保護したんだ。しかも、目的である赤ん坊のいる病院にだ!
西区に一般に電子機器が普及してなかったのも嬉しい。今のあたしはいちおう東区統治者。西区にテレビがあったらアウトだった。こんな幸運そうありゃしないね。
どうにか目的は達成できそうだ。
あの時、クソ野郎……レヴィアタンはあたしに言った。
「薔薇宮はたくさんの恨みを買っている。彼女は死んだけど、彼女の殻だったキミはまだ生きている。彼らに殺されたくなかったら、ワタシに協力してくれる?」
ふざけんじゃねぇ。たまたまこうして助かったが、もし旅行者があたしを見つけなかったら、あたしはあそこで死んでいた。
切断された手足の断面は既に塞がっている。新しい手足が生えてくるなんて展開は、もちろんなかった。これであたしは一生介護される立場かよ。わけわかんねぇ。
でも、目的さえ達成できれば、あいつが手足を治してくれるはずだ。両足を切断したのはあいつだし。治す方法がなければ、両足を切断なんてしないよな?そう信じなければ、やってられない。心が壊れそうだ。
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ミクミキ(プロフ) - 終わりました! (2019年12月16日 22時) (レス) id: eada72cfbe (このIDを非表示/違反報告)
ミクミキ(プロフ) - 更新します! (2019年12月16日 22時) (レス) id: eada72cfbe (このIDを非表示/違反報告)
キューブ(プロフ) - 更新しましーた (2019年12月16日 22時) (レス) id: ed034718e4 (このIDを非表示/違反報告)
キューブ(プロフ) - 更新しまっす (2019年12月16日 21時) (レス) id: ed034718e4 (このIDを非表示/違反報告)
ミクミキ(プロフ) - 終わりました! (2019年12月10日 22時) (レス) id: eada72cfbe (このIDを非表示/違反報告)
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