フォビアコンプレックス (ページ28)

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第二十七話　セリニページ28

私はセリニ。とある富豪にペットとして飼われている、愛玩用家畜人。

　私は秘密結社に属している。なぜかって？だって、こんなの嫌なんだもの。自由のない世界なんて。

　ほら、周りを見てみなさい。皆、何かしらのものに縛られているじゃないの。そのほとんどが、あの忌まわしい女王によるものであるしね。彼らが女王への反逆を企てるのも、無理はなかったのかもしれないわ。

　まあ、私の目的はそこじゃないのだけどもね。

　私の目的を語るからには、そうね。私達ローズ牧場出身家畜人の生産方法から語る必要があるわね。

　ローズ牧場はローザという若い女性によって経営されている、東区最大の家畜人の出荷場。そこで私達はとある女性のクローンとして、培養液から生まれる。

　その女性はとても愚かで、愛に生きて愛に殉じた。災厄を撒き散らしながらね。今でも、その災厄は生き続けている。

　なぜ分かるかって？

　だって私、それを覚えているもの。

　私もその女性のクローンだった。けど、おそらく何らかの不手際か、あるいはちょっとした偶然によってか、私はその女性の記憶をまるごと受け継いでいたのだ。

　なんておぞましいものだったか。筆舌にしがたかった。愛に狂った女の悪行は、結果的に数多くの人々の命を奪っていった。その女はもう死んだ。しかし、そいつが遺した災厄はまだここにいる。

　私の本当の目的は、その女が撒き散らして遺していった、災厄を片付ける事。

　そういえば、その女の名前を言ってなかったわね。

　そいつの名前はスザンナ・ローズ。アルラウネ種の始祖。