フォビアコンプレックス (ページ11)

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第十話　阿喰ページ11

西区のとある路地、''元''医療サービストップの阿喰は医療サービスの職員を髪から鷲掴みにし、壁に叩きつけた。

「どこの、誰が、告げ口をした」

　呼吸を乱し、途切れ途切れに質問するが答えはかってこない。

…流石は西区というところか、市民の民度は恐ろしほど高く、誰一人として情報を吐かない。

　こんな事を考えている間にもここの軍警が追ってくる、そろそろ限界だ、この区からは逃げ(出)なければ。

　言い訳だが、そもそも俺の能力は援護系なのだ、あの数の軍警相手に俺が勝てるとでも……西区なんてもう来るものか！

　心の中で唾を吐くと、職員に毒を含ませる、即死効果があるので心配はないだろう、おそらく、多分。
ここの医療技術で蘇生なんかされたらたまったもんじゃないな。

　明日まで西区にいたら捕まって実験台にされるのが目に見える、とりあえず今日中には西区を出たい、いや出ないと死ぬな。
　ふむ、南区への区境が近い、南区を経由してとりあえず東区にいこうか……いや、南区は西区と関係があったけな、やはり南区を経由して行こう。

　しかしあそこは監視カメラが多いからな……まあ非合法組織もある程度あるしこのくらい大丈夫、か。
謎理論を展開した後、路地からは出ず、中世ヨーロッパ特有の低い屋根の上に飛び乗り屋根上を経由して区境へ向かう。

というより、東区の薔薇宮殿にはどう説明したものか、一度裏切った仲だ、何因縁を持たれていてもおかしくない。

そもそも俺がこの状況に到ったのは、仕方ないことなのだ、マッドサイエンティストとして。

　俺には毒も薬も効かない、故に職員(被験隊)に投与して確認するしか方法がない。毒を投与していた俺は西区では犯罪者となるが、俺はやめなかった。人間に投与した結果が何より正しいから、そして医療サービストップという権限を有効活用しただけである。その結果職員の告げ口によって西区全体を敵に回し今に至る。

要するに自業自得。

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