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第二十四話 エルンスト ページ25

「ゔぁー……腹減った……」

俺の名前はエルンスト。貧民らしく、絶賛空腹中。西区はどこもかしこも小綺麗で、南区か東区あたりみたいに一口齧っただけのパンだの賞味期限切れの手付かずの弁当なんか落ちちゃいない。……こんな誰もがニコニコしてそーな西区に苦しんでる貧困層なんかいるのか、って思うヤツもいるかもしれないが、実際いるんだから仕方ない。
そもそも俺は東区の出身だ。犬猿の仲の東区から脱走してきた貧民、っつーカースト最底辺のギリ上くらいの人間……なんだろうか俺は。

「おいエルンスト!さっさと起きろ!たった二日メシが食えてないからってへばるな!!」

ぐったりしている俺に追い打ちをかけるのは、俺の「尻尾」のハインリヒ。尻尾のクセに頭のついてるコブラみたいな見た目でよく喋る。正直言ってうざい。

「……暴れてカロリー使うな……余計疲れる」

「ハッ、馬鹿でかい脳味噌のせいで燃費最悪の人間サマにゃ言われたくないな」

「つーか体繋がってんだからどっちがどうとか関係ないだろ」

俺がどうしてこんな体になったかはわからないが、ハインリヒが言うにはクソ科学者に騙されたとかなんとかってんで……俺たちは体を治そうと西区に来たが、ここの技術でも俺たちを二人の人間として生きられるようにするのは難しいらしい。
……考え事したら腹が減る。

「もーダメだこれは完全に詰んだ……金ないし売れるモンもないし死ぬわコレ」

「コラーッ!オマエが死んだらオレも死ぬだろうが!!せめて人通りの多いとこまで這って助けを求めるぐらいしろーッ!!」

……ん?ぴーぴーわーわー喚く声の中に、誰かの足音が混ざっている気がする。

「……誰だ?」

「よぅ、エルンスト。今日も元気に死にかけてんのか」

背後から聞こえる声の主は、多分靴屋のラウルだ。
「東区で人体実験に使われた罪のない一般人」な俺たちに西区の人たちは優しい。

「おうよ、このバカがおとつい酒場でやたら高いの食ったおかげで無一文さ」

「ハインリヒも美味いって食ってたろ、モモ肉のロースト」

「オマエは口を挟むな!」

「はっはっは!相変わらず仲いいな!昨日の残りのシチューがあるから、ちょっとうちで休んで行けよ」

「ありがとうございます!この恩は近いうちは忘れない!」

空腹でヘロヘロの俺は、ラウルに担がれて家へと連れられて行った。ラウルの奥さんに、晩ご飯に食べるつもりだったのに、なんて言われるんだろうな。

第二十五話 イヴリン→←第二十三話 ドロシア



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ミクミキ(プロフ) - 終わりました! (2019年11月13日 20時) (レス) id: eada72cfbe (このIDを非表示/違反報告)
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ミクミキ(プロフ) - 更新します! (2019年11月12日 20時) (レス) id: eada72cfbe (このIDを非表示/違反報告)
キューブ(プロフ) - 更新しましたー (2019年11月9日 22時) (レス) id: ed034718e4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミクミキ x他4人 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2019年10月14日 19時

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