ロボトミーの赤薔薇 (ページ14)

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今日も私は、ドロモスワークスカンパニーへ出社する。

　しばらくの間をあの施設で過ごして、そのまま私は学校を卒業した。小さいながらも家を買って、そこでフィーと二人暮らししていた。

　あれから、サリエルとアズリエルには会っていない。先生に尋ねると、二人は病院にいるらしい。しかし、どこの病院にいるのかは最後まで教えてもらえなかった。

　それにしても、大きなビル！見上げて、感嘆のため息。私はこんな大企業に務める事になったんだなって。感動して、言葉が出ない。

　ここで働き初めて既に一年が経っていたのだけど、やっぱりそう思ってしまう。

　カンパニーでの仕事は、ある病気の研究。フォボス症候群という、恐怖によるストレスをトリガーとして発病する、原因不明の病。発病すると異形になるけれど、感染するだけだと科学では説明のつかない能力を会得できるようになる。

　発病者や感染者から採取したサンプルを観察したり、薬品を開発するのが私の主な仕事だった。

　フォボス症候群が発見されてから、いろいろあったなぁ。初めて確認されたのが、私達が暮らしていたあの施設のそばだったんだから。

　施設に侵入したどろどろの持ち主は、フォボス症候群の発病者だったのだ。理性を失って暴れ狂ってたらしい。もし遭遇していたら、きっと殺されていたかもしれない。そう思うと怖かった。そういえば、先生ってどうなったんだっけ？

　フォボス症候群はどんどん広がっていくの。だから、私達は日本へと引っ越した。世界中がフォボス症候群に蝕まれていってて、国が成り立たなくなっていったとこもあった。その中でも、日本は島国だった事が幸いしていたのか、比較的発病者が少なかった。ゆえに、それなりに治安も良くて、安心して眠れたわ。

　さて、と。仕事、頑張りましょう！終わったら、食事に行こう。仕事先で知り合ったWPSっていう団体の学者さんに、誘われたの。名前は白雲和哉。優しそうで、格好良い人だったなぁ。好きになっちゃいそう。

　夜が楽しみだわ。頑張らないとね。