ロボトミーの赤薔薇 (ページ2)

今日:10 hit、昨日:0 hit、合計:4,275 hit

2 ページ2

部屋を出る。窓から差し込む光が眩しくて、目を細めた。ちょっと部屋で話していた間に、太陽はすっかり昇りきってしむっていたようだ。

「ベーコンエッグ、ベーコンエッグ！おねえちゃん、たのしみだね！」

　フィーは笑いながら洗面所に急いでる。そんなに早く朝ご飯が食べたいのかしら？そうよね。フィーってば、ベーコンエッグがとっても大好きなんだもの。他に好きなものは何だったっけ？チキンヌードルスープ、薔薇の花弁のジャムをつけたトースト、あとはお肉かしら？

　いつか作って食べさせてあげたい。私が作った料理を食べて、フィーはきっと笑ってくれるわ。美味しいって。その笑顔を見たくて、私は先生の手伝いをしている。

　私達が食べるものは、ここの先生が作る。先生はとても優しい人で、私達が食べたいものを作ってくれるのだ。マカロンだとか、ケーキだとか、パイだとか！私は甘いものが好きだから、頼む時はいつもこんなものばかりだった。

　洗面所で顔を洗う。冷たい水はまだ朧だった意識を覚醒させてくれた。

　ふと横を見てみると、フィーが水の冷たさに驚いたからなのか、ぴゃあ、おねえちゃんたすけてぇ、と、可愛らしい悲鳴をあげていた。私は笑いながら、彼女の濡れた顔をタオルで拭いてあげる。フィーの白い肌に散る水滴は、同じ色をしたタオルに吸い込まれていく。

　てくてく歩いて、食堂に。フィーがあんまり急かすものだから、それが何だかおかしくて。笑いながら歩いたの。フィーは笑わないでってほっぺを膨らましていたけど、すぐにつられて笑い出す。

「おはようございます、先生」

「せんせい、おはようございます！」

　食堂のドアを開けて、キッチンで作業をしている先生に挨拶。先生はおはよう、と挨拶してくれて、そしてまた手元の作業に戻る。手伝おうとしたけど、先生は首を振る。大丈夫だからって。仕方なく椅子に座り、料理を待つ。

「お、スージーとフィーか。早いなぁ」

「あ、スージー、フィーちゃん！おはよぉ」

　友達のアズリエルとサリエルが来て、隣の椅子に着席。つい驚いて、目を丸くする。なぜなら二人が早起きなんて、珍しいのだ。いつも九時頃に起きてくるような子達なんだから。ああ、でも。そういえば、二人もベーコンエッグは好物だったっけ。もしかすると、冷めてないベーコンエッグが食べたくて早起きしたのかしら。

「お待たせ。熱いから気をつけてね」

　ベーコンエッグが運ばれて来る。二人とフィーが美味しそうに食べた。フィーが嬉しそうで、私も笑顔になった。