フォボス症候群４ (ページ8)

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第百三十六話　カナデページ8

「ねーさんッ！」
生物兵器から襲われそうになったアタシを庇ったねーさんは血を至るところから流し倒れた。
駆け寄ろうとした瞬間、ねーさんは新しく作った拳銃を手に寄ってきていた生物兵器を撃ち殺す。

「早くッ……！……やれっ……！」

ねーさんは無理に立ちながら更に生物兵器を撃ち殺していく。私の中で何かがキレた。

ねーさんを助けなきゃいけないのと、この戦いを終わらせないといけない事に刈られる。アタシは恐ろしいほど真っ青な大空に向かって雄叫びをあげる。

そして、空へ腕を伸ばし手を掲げる。

「平行世界の自分を己に写せ!(Copy My Hero!)ッ！channel1ッ！空よ！対生物兵器の薬の成分を含んだ雨を町中に！降らせよッ！」

その言葉と同時にゴロゴロと音が鳴る。

ぽつり、ぽつり。滴が上から落ちてくる。

上を見上げた。

真っ黒な雲が青空に広がっていく。

真っ黒な雲から大粒の滴が落ちてくる。

真っ青な大空が真っ黒な大空へと変わる。

全て真っ黒になった瞬間、ザーッと大雨が降り注ぐ。それと同時に雨に打たれた生物兵器が雨に当たった部分から溶けて消えていく。

アタシはぐるりと周りを見渡す。溶けていく生物兵器を見ながらねーさんの所に行こうとした瞬間、ねーさんはパタリと倒れる。

「……！ねーさんッ！」

走って彼女のところにたどり着くとねーさんは既に冷たくなりかけていた。

「……これでいいの。奏、よく聞いてちょうだい……？」
「……」
「──家族の皆に、貴女に、会えて、よかった」

──ありがとう。そう言うとねーさんは目を閉じる。

アタシはねーさんを座りながら抱き抱える。

既に彼女は冷たくなっていた。

「う、う……うあぁぁぁぁッ！」

降りしきる大雨の中、アタシは冷たくなったねーさん(大事な人)を抱き抱え泣き叫んだ。

それと相応するように雨はますます強くなっていった。