第百三十九話 カナデ ページ11
あれから数ヵ月後。町は何事もなく復興へと進んでいた。
「「「ええぇぇぇーーーっ!?」」」
ここは、WPSの会議室。今日も今日とで社員達が叫び声を上げる。
「え、ちょ!?姉さん!?旅に出るって!?えぇっ!?」
「いや!流石に急すぎるだろ!?」
「え、ちょ、カナデ?本気?」
椅子から降りて叫ぶ調と紅夢。そして、レンも焦った様にアタシに聞く。
アタシは皆の反応を見て笑いながらこう言った。
「いやだって、この前の件でさ、思い知ったんだよね!アタシ!弱い!」
「弱くないよ!」
即座に誰かの突っ込みが入った気がするが気のせいだ。うん!
私は手を腰に当てて満天の笑顔を浮かべる。
「ねーさんや短を死なせてしまったし、なんにせ多くの擬声があった。本来ならばあってはならないことなんだよね!」
────だから。
そう言うと皆も「だから……?」と返してくる。
「世界中を回って沢山の事を知りたい!後!能力拡張もしたい!」
「奏さん」
「ん?どうしたの?ミア?」
アタシがそう言いながらくるくる回っているとミアが私の事を呼ぶ。ぐるりとそちらの方を見ると優しそうに微笑みながらこう言った。
「旅に出るのはわかりました。ですが、学校やWPSの事はどうするのですか? 後、物凄く言いにくいのですけども、政府とかの報告とかは……?」
「うーむ。あ、大丈夫。もう話はつけてあるし、政府にも報告書は出したよ」
そう言うとミアが微笑みながら口を開く。
「そうですか。わかりました」
「ふぅーむ。でも、残る問題は会長代理なんだよねぇー」
そう言いながらぐるりと皆を見渡す。
パチリと調と目が合った。
調は訳わからなさそうに首をかしげる。
彼を指差しながら、にこにこしてこうアタシは言った。
「調っ!会長代理を頼んだよ!」
「えっ」
「は?」
「えっと……?」
ポカーンと皆がアタシと調を交互に見て、調はポカーンとした顔でこちらを見て一拍置いた後
「「「えぇぇぇーーーっ!?」」」
「あっはっはっはっ!」
声を揃えて本日二度目の絶叫とアタシの愉快な笑い声がWPS内に響き渡った。
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白雪の鴉亭(プロフ) - 終わりました! (2019年4月29日 8時) (レス) id: 033af8111d (このIDを非表示/違反報告)
白雪の鴉亭(プロフ) - 手直しします! (2019年4月29日 8時) (レス) id: 033af8111d (このIDを非表示/違反報告)
白雪の鴉亭(プロフ) - 終わりました!これにて!フォボス症候群!完結です! (2019年4月29日 8時) (レス) id: 033af8111d (このIDを非表示/違反報告)
白雪の鴉亭(プロフ) - 更新します! (2019年4月29日 7時) (レス) id: 033af8111d (このIDを非表示/違反報告)
キューブ(プロフ) - 更新しました! (2019年4月28日 21時) (レス) id: ed034718e4 (このIDを非表示/違反報告)
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