フォボス症候群２

第八十六話　マーガライト ページ41

「……何？これ」

　公園に向かっていたんだけど、変なのを見かけてしまい、立ち止まる。倒れている女と、そしてその女の顔に覆いかぶさるナメクジみたいなの。

　あ、女の方はまだ動いているわね。手足がぴくぴくと痙攣している。まだ死んでないのか、それともさっきまで生きていたのか。

　助けるつもりじゃなかったけど、どんな顔になっているのか興味を持って、ナメクジを引っ掴んで見てみた。そして少し後悔する。

　どろどろに溶けているわ。ばっちぃ。それに、嫌なにおいもする。何かのガスみたいな。ナメクジは放り投げて、急ぐ。

　早く坊やを探さないといけないわ。公園にいるはずだから。もし坊やがこんなのに襲われていたら、どうしましょう？汚らしい生き物が、私の坊やに触るだなんて！

　だめよ、そんなの。許せない。

　急がないと。足を早めた。

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