第七十九話 ウタ ページ34
走る。走る。走る。
被験者の収用室は地下だ。調と共に走る。
走れ。走れ。走れ。
地下だ!着いた!急げ!急げ!急げ!
「……?!キャアアアアアア!」
「「!?」」
悲鳴が聞こえた。フィリアさんの声だ。男ながら凄いな。おい。私は悲鳴が聞こえた方を指してこう言った。
「私はこっち行く。こっちにも被験者の収用室はあったはずだから」
そう言うと調はビックリした顔でオドオドしながらこう言った。
「え、ボク一人でいかないとダメなの?」
「当たり前でしょ?“効率良く”だよ!」
泣きそうな顔で私の方を見たが調はコクりと頷いて「頑張る……」と言った。なので、頭をなでなでしながらこう言った。
「大丈夫大丈夫。だって調はYHDKでしょ?」
「……YHDK?」
「
そう言うと調は涙を拭い頷いた。
「うん。出来る!大丈夫ッ!」
空元気にそう言ったので私は笑い、調の頭から手を離す。すると調、口惜しい顔をしていたが悲鳴が聞こえた方と逆の方に走り出す。
私も悲鳴が聞こえた方へと走り出す。
暫く走っていると硬直しているフィリアさんを発見した。
彼の傍らには煙が少し上がったアタッチメントが。わーい!物騒!
フィリアさんの隣に立ち話しかける。
「フィーリアさん?大丈夫ー?」
「キャアァァァッ!?」
「おー!すごい悲鳴だね!大丈夫?」
何かを見ていた彼は私の存在に気付くとこちらを見てぱちくりする。
「……あ、唄サン?」
「おー、しょうきに戻ったね!良かった!」
そう笑うとフィリアさんはため息をついてこうツッコんだ。
「……正気ヨ。唄サン」
「ありゃ?そうだっけ?……って!コントやってる場合じゃないよ!あの子だよね!?被験者!?」
私は指を指すとフィリアさんは苦笑いをして「そうヨ」と返してきた。
そこには、おぞましい怪物がいた。。巨大な眼球は四つで、それぞれが全く異なる動きをしている。キッモ。耳元まで裂けた口からは鋭い牙が覗き、しかも血まみれ。つるりとした白い肌に毛穴はなくて、まるで生物的ではない。あれは、つまり……
私はその子に近づく。フィリアさんはあたふたして止めようとしたが何ともなく進んでいく。
私はしゃがみこんでその子に話しかけた。
「私は市村唄!ねね!貴女の名前は?」
何故、女の子だと思ったのだろうか?否、服装から。ぼろ布同然の薄い紫色に赤と茶の模様をしたドレスに身を包んだ女の子。
見た目は女の子だから。
その子はモゴモゴとした後、私にこう言った。
「ふぇしりあ」
と。
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白雪の鴉亭(プロフ) - 更新終わりました。短くてすみません。 (2019年4月4日 18時) (レス) id: 033af8111d (このIDを非表示/違反報告)
白雪の鴉亭(プロフ) - 昨晩は本当にすみませんでした。小説を更新します。 (2019年4月4日 17時) (レス) id: 033af8111d (このIDを非表示/違反報告)
嵩画@多忙(プロフ) - 終わりました。お話を追加しようと思ったのですが、文字数の関係上一話では収まりきらないと判断しましたので続編の方に書かせて頂きます。 (2019年4月4日 1時) (レス) id: 3b71435c15 (このIDを非表示/違反報告)
嵩画@多忙(プロフ) - 更新します (2019年4月4日 1時) (レス) id: 3b71435c15 (このIDを非表示/違反報告)
ミクミキ(プロフ) - 終わりました! (2019年4月3日 16時) (レス) id: eada72cfbe (このIDを非表示/違反報告)
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