第七十七話 フィリア ページ32
気味の悪い生物を殴り飛ばす。
犬みたいな生き物だった。けれど、顔は縦に真っ二つに裂けているの。食道の断面を見せつけるようにしながら襲いかかってくるものだから、びっくりしちゃったわ。
ショットガンを放ちながら、内部へと侵入していく。ところどころに社員さんが戦っていたような形跡があったのだけれど、残念ながら、アタシが来た時にはすでにもぬけの殻というか。生きている人は一人もいなかった。
エレベーターは機能していない。そもそも、ブレーカーが壊れてしまっているみたいだから。非常用の階段をおりながら、電話をかける。
「フィー、今、地下二階に到着したところヨ。アナタがいるのハ、どこ?」
通話しながら、襲いかかってくる生物を撃ち落とす。今度は、直立歩行する白いカブトエビみたいな生き物だった。女のような甲高い悲鳴をあげながら、のたうちまわる。まだ死なないの?弾は節約したいから、ヒールで頭を踏み潰した。
けれども、奥から物音を聞きつけたのか、また新たな怪物が現れる。思わず、眉をひそめた。もう、面倒臭いわね。さっさとここを通してよ。
『ふぃりあ……かいだんの、ちかくにいるの?なら、もうすぐよ。ひだりのみちをまっすぐすすんで、つきあたりのへや』
突き当たり、ね。分かったわ。銃弾の音を返事代わりにする。
ようやく静かになったので、溜め息を一つ。化け物はだいたいいなくなったのかしら?それでも警戒するにこした事はない。アタッチメントを構えながら、移動する。
壁には、ガラスが張られていて、そこから部屋の中の様子を見る事ができた。何らかの手術台や、用途不明の道具、それから、なぜなのか分からないけど、錆びついた拷問器具があった。
ちらりと一瞥する。ここ、やっぱりおかしいわよね。化け物も、奥の方に多いように感じたし。ここでいったい、何が行われていたのやら。きっと、ろくなものじゃあないわ。
そんな事を考えながら歩いていると、ようやく、突き当たりのドアを見つけた。『T3収容室』と掘られた金属のプレートが、目を引く。なぜかここだけ、ガラスが張られていない。けれどその違和感に気づく前に、軽くノックした。
「……」
返事がないわ。どうしましょう。少し迷ったけど、せめて確認しようとドアを開ける。
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白雪の鴉亭(プロフ) - 更新終わりました。短くてすみません。 (2019年4月4日 18時) (レス) id: 033af8111d (このIDを非表示/違反報告)
白雪の鴉亭(プロフ) - 昨晩は本当にすみませんでした。小説を更新します。 (2019年4月4日 17時) (レス) id: 033af8111d (このIDを非表示/違反報告)
嵩画@多忙(プロフ) - 終わりました。お話を追加しようと思ったのですが、文字数の関係上一話では収まりきらないと判断しましたので続編の方に書かせて頂きます。 (2019年4月4日 1時) (レス) id: 3b71435c15 (このIDを非表示/違反報告)
嵩画@多忙(プロフ) - 更新します (2019年4月4日 1時) (レス) id: 3b71435c15 (このIDを非表示/違反報告)
ミクミキ(プロフ) - 終わりました! (2019年4月3日 16時) (レス) id: eada72cfbe (このIDを非表示/違反報告)
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