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第七十二話 クランクハイト ページ27

レイのヤツ、一体何処に行ったんだ?
戻る時間になれば帰ってくるだろうと、オレはWPSの連中が集めた資料を勝手に覗いていた。すると突然、懐から着信音が鳴りだした。


「こんなタイミングで……誰だ、全く」


画面には部下の電話番号が表示されていた。最近、あらゆる物が寄ってたかってオレの邪魔をしてくるように感じるのは気のせいではないだろう。


「……オレだ。要件は何だ?」


「大変です、クランクハイト様!すぐに本社にお戻りください!」


部下の声はやたらと慌てているようだった。


「……何があった?何故オレがそっちに行く必要がある?」


「それが、その、何者かが地下研究所に侵入し、生物兵器のカプセルを破壊したようで……」


「何だと?何のために警備員を配置した?お前らのその頭は一体何のためについている?」


「で、ですが、今人手が足りていない状況でして、せめて上級幹部のどちらかがいれば……」


「クソが、行きゃ良いんだろ。非常時用の対応マニュアルならあった筈だ。貴様らの愚鈍な頭で考えるよりそれに従う方がマシだ!とにかく、オレがそっちに行くまで持ち堪えろ!」


「はい、分かりました!」


部下からの通話はそこで切れた。アイツの態度は少々気に食わないが、今はそれどころではない。


「……とうとう、ここまで来ちまったか」


オレと総帥殿のやっていたことは明確な「悪事」である。露呈すればそこで終わりだが、バレない限りは大丈夫、という類の。カンパニーの崩壊により、憐れな社員どもが路頭に迷おうとオレは一向に構わない。生物兵器と被験体どもが世界にばら撒かれ、壊れかけた世界が破滅する様を見るのは中々面白そうだから、むしろ歓迎してもいいかもしれない。
だが、総帥殿はどうなる?

世界に恐怖を与えようというオレに賛同し、オレを愛するでもなく忌避するでもなく、道を指し示してくれたあの方の作り上げた素晴らしき死想郷(ディストピア)とでもいうべきカンパニーがなくなったとしたら……


「まだだ、まだ終わっちゃいない。せいぜい足掻いてやるよ、運命なんざ糞食らえだ!」


オレはWPS研究機関の施設からカンパニーへと急いだ。レイのことは知らん。


愛車のエンジンをかけたとき、静かに背後から近づく羽音に、オレが気づくはずもなかった。

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白雪の鴉亭(プロフ) - 更新終わりました。短くてすみません。 (2019年4月4日 18時) (レス) id: 033af8111d (このIDを非表示/違反報告)
白雪の鴉亭(プロフ) - 昨晩は本当にすみませんでした。小説を更新します。 (2019年4月4日 17時) (レス) id: 033af8111d (このIDを非表示/違反報告)
嵩画@多忙(プロフ) - 終わりました。お話を追加しようと思ったのですが、文字数の関係上一話では収まりきらないと判断しましたので続編の方に書かせて頂きます。 (2019年4月4日 1時) (レス) id: 3b71435c15 (このIDを非表示/違反報告)
嵩画@多忙(プロフ) - 更新します (2019年4月4日 1時) (レス) id: 3b71435c15 (このIDを非表示/違反報告)
ミクミキ(プロフ) - 終わりました! (2019年4月3日 16時) (レス) id: eada72cfbe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミクミキ x他9人 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2019年3月27日 21時

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