第四十九話 スザンナ ページ3
あの後、しばらくフェシリアで遊んで、だいぶん気分が良くなった私は、更なる気晴らしに、散歩でもする事にした。
やるべき事はまだあったのだけれど、やるにしたって、それなりのコンディションは必要でしょ?最近、疲れがたまりがちだったし。
臨床室をガラス越しに覗き込んだ。被験体と思わしき生物は、泡を吹いて痙攣している。無様な姿だわ。大して興味もそそられない。つまらない。
エレベーターを起動させて、乗り込む。下の階へ。刺激的で素晴らしいものが詰め込まれた場所へ。
開く扉。
乗り込んでくる他の社員に挨拶しながら、私はそれらを眺めた。素敵で、完成されていて、まるで美しさすら感じるような、それら。その中でも特に目を引くそれ。
カプセルに眠らされて封印されているのは、私とフェシリアが生み出した、可愛い子供達。
生体兵器。
元人間だとは考えられないような……いえ、地球上に存在しうる生物だとはとても思えないような。醜悪でおぞましい姿。けれどもまったくの拒絶感を起こさないのは、この子が、元は私やフェシリアの生んだ赤ん坊達だから?
赤ん坊がこんな生き物になってしまうなんて。素晴らしいと思った。
この子が戦う姿、見てみたいわ。この子が苦しむ姿、それはきっと、私を喜ばせる。笑顔を浮かべて、子供の入ったカプセルを撫でた。本当は抱き締めて、そのまま殺してやりたかったのだけれど、それはできない。
もどかしくもあって。私はカプセルに背を向けた。
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白雪の鴉亭(プロフ) - 更新終わりました。短くてすみません。 (2019年4月4日 18時) (レス) id: 033af8111d (このIDを非表示/違反報告)
白雪の鴉亭(プロフ) - 昨晩は本当にすみませんでした。小説を更新します。 (2019年4月4日 17時) (レス) id: 033af8111d (このIDを非表示/違反報告)
嵩画@多忙(プロフ) - 終わりました。お話を追加しようと思ったのですが、文字数の関係上一話では収まりきらないと判断しましたので続編の方に書かせて頂きます。 (2019年4月4日 1時) (レス) id: 3b71435c15 (このIDを非表示/違反報告)
嵩画@多忙(プロフ) - 更新します (2019年4月4日 1時) (レス) id: 3b71435c15 (このIDを非表示/違反報告)
ミクミキ(プロフ) - 終わりました! (2019年4月3日 16時) (レス) id: eada72cfbe (このIDを非表示/違反報告)
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