フォボス症候群２ (ページ16)

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第六十一話　トツキヨ・コウムページ16

ウタの朝飯に付き合ったあと、仕事までに少し時間があったためレンのところに寄った。

「よぉ、レン」

「仕事帰りですか？コウム様」

「コウム様じゃねぇよ、コウムだ。まぁ、その辺」

ったく、いつまで慣れないことだか…

てか、レンは◯◯様って呼ぶのは平気なのか？
俺だったら、無理だ。

逆にすごいとレンのことを少し尊敬してしまった。

「…最近、どうなんだ？レン」

「うーん………ボチボチかな。でも感染者になった人達は助けているよ」

「そうか…」

レンはレンで相変わらず大変そうだ。

こんな色んなモノに縛られ自由に生きていられてないのに忙しいって……地獄かよ。

ほんと、レンはすげーや。

他愛な会話をしばらくしてると、そろそろ時間になった。

そして俺はレンに「仕事の時間だ」と言い研究室から出た。

まぁ、レンがやってることも『フォボス症候群』を治すためなんだ。

だったら俺はそれを近くで見守り、少しでも時間があればレンのために行動したりして本当に少しでもいい。

レンの支えになれたらな。

そんなことを考えながら歩いていると何かにぶつかって、互いに転んでしまった。

「いってー………」

そうして俺は立ち上がり軽く服を叩いた。

そしてぶつかった相手を見て俺は軽く絶望した。

「ったく、なんでお前なんかとぶつかるんだよ。ちゃんと前見て歩け」

「はぁ？コウムこそ前見て歩け。このバカが」

「てめぇ、上等だ。喧嘩で勝負をつけよう」

「それ乗ったわ」

そう、俺がぶつかったのはトツキヨ・テンム。

なぜか俺と名前が似てて喋り方や喧嘩の仕方、おまけに能力までもが少し似てる。

このＷＰＳ研究機関で１番ウザイ奴とは互いに認識してる。

てか、喧嘩なんかしてる場合じゃねぇ…

早く行かねぇと。

「わりぃ、おめぇみてぇなバカと喧嘩するほど暇じゃねぇんだよ。喧嘩はまた今度やろうぜ？」

「……まぁいい。僕だってお前みたいなバカなアホと喧嘩するほど暇じゃないんで」

そう言い、テンムは少しイライラしながらも自分の持ち場へと戻っていった。

そして俺は急ぎ足で仕事へと向かった。