フォボス症候群２

第五十八話　ミランダ ページ13

「な、何ですの？！」

　突然、大きな爆発音が響き渡った。びっくりして、思わず放心してしまう。しばらくそうしていたけど、はっとして辺りを見回した。

　初めに目に入ったのは、あの高層ビル……何とかカンパニーの本社ビル。何だったかしら。確か、ドロモスワークスカンパニー？そのビルの方から、聞こえてきた。

　何かあったのかしら。少し煙がのぼってるみたいだわ。交通事故……ではなさそう。それにしては、音が大きすぎるもの。そういえは、あそこは製薬企業、だったわよね？薬品の実験とかで、何かの事故が起こったとか？

　ちょうど近いし、見に行ってみようかしら。それに、真冬の家に遊びに行くところだったし。私の家から彼の家までは、あのビルの前を通る必要もあったから。

　ああ、でも嫌だわ。余所者が建てたビルで起こった事故。これだから嫌なのよ。舌打ちをしたい気分。

　ここに真冬がいたら、苛立っている私をからかって遊ぶのでしょうけど。それを思うと、更に腹立たしくなってくるわ。

　とりあえず、真冬にメールを送った。

『件名：遊びに行くわ』
『本文：真冬、今そっちに向かってるわ』

　他にも書こうと思ったけど、面倒だったからやめた。怒りを抑えようと細く息を吐きながら、私はゆっくりと歩いて行く。

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