フォボス症候群 (ページ6)

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第五話　ミドリページ6

「…………あ～…へぇ…うん……」

窓の隙間に挟まっていた手紙を見て俺、ミドリ・ツキガオカは情け無い声を出していた。

取り敢えず頭の中を整理しよう…今日は確珍しく早起きができた。気持ちの良い朝日を浴び、ベットから出た後も部屋に無数に転がっているぬいぐるみに足を取られることも無く着替えた。

とてもいい、とてもいい朝だったと思う。

問題は次だ。
窓に挟まっていた手紙………まぁそれを俺は開いた。
無所属の感染者、名をマコト・イクサビというらしい彼？彼女？からの手紙だった。

内容は、カンパニーに協力させてほしいのだが、直接手紙を総帥様に送るのは如何なものか。という事で上級幹部である俺に手紙を送った。という事と、協力する為にそちらの総帥様と話をさせてほしい。というものだった。

その下にも何故協力したいと思ったかとか就職面接っぽいことが書いてあったが……そこの文で送り主のマコト・イクサビという者がいかに面倒くさいかがわかった。

ＷＰＳ研究機関に不正がバレ、このマコト・イクサビという協力者かどうか怪しい者…

「…面倒くさそうやなぁ……まずは総帥に連絡か。」

取り敢えず俺は手紙を服のポケットに入れ、会社に行くために玄関から外へ歩き出した。

ドンッ

ドアを出た瞬間、足に何かが当たる音がした。

下を見ると箱が置いてあり、その箱には最近できた人気のケーキ屋のロゴがプリントされていた。
きっと中にはケーキが入っているのだろう。

箱をヒョイと持ち上げて歩き始めると、何か付箋が貼ってあることに気がついた。
その付箋には、

［ドロモスワークスカンパニー総帥様へ、マコト・イクサビ］

と書かれていた。
持っていけという事なんだろう。

……これも総帥が甘いものが好きであると知ってのことなのか、それともただの偶然か…
そもそもこの家がドロモスワークスカンパニーの上級幹部の家と知っていることにも驚きだ。

………このマコト・イクサビという者、なかなかやるな。
是非とも話をして見たい…楽しみだ！

「…今日の予定は…まず通勤して総帥にこの手紙を見せた後……ケーキの毒味して毒が無かったら総帥と一緒にティータイム！！やな！！！」

マコト・イクサビという者と話をするのが楽しみだったが、それより総帥とのティータイムの方が楽しみになってきた。

そんな事を考えていた俺は、いつのまにか総帥室の前まで来ていた。