第三十三話 スザンナ ページ34
「そうだ!俺たちがやった!!!」
その言葉を聞いた時、私は動けなくなったの。
動揺だとか、そんなのじゃなかった。比喩でも何でもなく、本当に。まるで金縛りにでもなってしまったかのように、ピクリとも動かない。
何よ、これ!まさか、彼らは感染者?何かの能力を使われた?まずいわ。必死に抵抗したいところなのだけれど、身体は私の意に反して、硬直したまま。
「あ、ヒトミ!やっと茶が入ったのか!」
ああ、何という事!別室に移動していた青年が、戻って来て。大変だわ。いったい、私に何をしようとするつもりなの?!
「おいコラ……マコトお前異能力使っただろ。」
「いやぁ使わざるおえない状況になって……てへぺろ!」
青年が呆れているかのように言って、もう片方は悪びれもせずにそう返した。やはり、何らかの能力を使われたのは間違いなさそうね。けれど、どんな能力なの?!
「……はぁ…」
青年が事情を聞き出している。どうやら、この事態は彼にとっても想定外のものだったらしい。けれど、それで安心できるはずもなく。
「まぁ良い機会じゃないか。存分に質問出来るぞ!そうだな…まずは何を聞こうか…」
ふざけるなよ。私はそう言いたかった。口は開けないから、せめて目線だけでも。でも、それすらできない。悔しさに唇を噛みたいくらいだった。
「そうだ!お前の本当の目的……その紙に書いてみな!!!」
青年がそう言った途端。私の身体は今までとはうって変わって、滑らかに動き始めた。でも、それは私の意思によるものではなかった。彼の能力は、相手を服従させるもの?
私の手が、ボールペンを握った。これで、紙に書かせるつもりなのかしら。もう抵抗すらしなかった。ただ、後の事を考えていた。
仕方ないわ。排除できない。下手に動いて不信感を得ようものなら、彼らは相当厄介なものになりえる。ならば、取り込むのが得策。そもそも、取り込むつむりでここに来たのだし。
『妹と愛し合うためにも、カンパニーの上層部を叩き潰したい』
さらさらと書き込んで、筆を置いた。
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りおーね(プロフ) - 修正終わりました〜 (2019年3月28日 12時) (レス) id: c9f96cbb66 (このIDを非表示/違反報告)
りおーね(プロフ) - 少し修正します (2019年3月28日 12時) (レス) id: c9f96cbb66 (このIDを非表示/違反報告)
薙(nagi) - 祝!続編!!頑張りましょう (2019年3月27日 22時) (レス) id: 43e3ad1e0e (このIDを非表示/違反報告)
零霧―ゼロキリ―(プロフ) - 長めじゃなかったですね、更新終わりました!あと、続編を作る必要があるみたいなんですが…どうすればいいですかね? (2019年3月27日 21時) (レス) id: 64e187c771 (このIDを非表示/違反報告)
雷夜@馬鹿な小説家(プロフ) - 修正完了しました! (2019年3月27日 20時) (レス) id: 4f6eef4efb (このIDを非表示/違反報告)
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