第三話 ナギ ページ4
「はぁ、さいきん おくすりがすくなくて かなしいな…」
そんな狂った事を言っているのは隣に座っている少女ヴェロニカだ、まぁフォボス症候群で姿は少女とは言い難いけど。こんな事を言っている俺はもう人間ですらないけど
「我は出なくてうれしいよ…」
「そうかなあ」
正直あのじわじわきたり痺れたり、激痛とかは好かない。これを話して理解してもらえる人は個々にはいないから、そういえばフェシリアはごはんだっけか、あの子も可愛そうだなあ。姉があんなんじゃ助からない、というより被験体の時点で助かる道はないけどネ
嗚呼でも、我等にこんな事をしている総帥に依存している俺が言えたことではないか
マトモな奴なんていないかった
不快不快、こんな事を考えるのは性に合わないネ!
「お茶会はお開きにしよう、ね?ヴェロニカ」
「えー、わたしもうすこし おちゃかいしたい!」
我が押されると弱いと最近学習したヴェロニカは駄々をこね続ける。かわいらしい…とは程遠いが、まだこの子も幼いのだ、お願いくらいは叶えてあげないとネ。確かにまだ我の紅茶は残っているし、お開きにしたいのも気分だったから続けてもいいか
「じゃあ、あともう少しだけだゾ」
「うん!」
くちばしで紅茶を飲むのは難しい、最初は溢してばかりだったが今では慣れたものだ。
なんだかこんな生活に慣れてる自分が怖くなるくらい、ここに馴染んでいる。
でも全ては総帥の為なのだ。
「あ!」
急に大声を上げるからビックリする。ヴェロニカはガラス張りになっているところを指で示した。
「総帥…」
そこにいたのは総帥だ、冷たい目でこちらを見てくる
所詮、我等は被験体という事だ。本当はシエラと呼びたいが、許されることじゃない。
「なんだか眠くなってきた」
「えー、おちゃかいは?」
前の定期血液採取で、貧血なのだ
ただでさえこの体で血が少ないのに…加減はして欲しい。
「また今度」
そういって、瞼を閉じた。声が聞こえるが聞き取れるわけもない。
お茶会の片付け、あの子出来るかな?
…そういえばここに来て何年目だっけな
そんなのも忘れるくらい、長い間個々にいたものだから日にち感覚も曖昧になっている。
あの薄っぺらいガラスが砕けてくれれば総帥の元へ行けるのに。
敵わないな…
願っても叶わない願いはもうしないって決めたはずなのにネ。
それにもう満足しているのだ、今の生活に。
どんな非道な事をされても、総帥の為になっている、それだけで十分なのだ。
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りおーね(プロフ) - 修正終わりました〜 (2019年3月28日 12時) (レス) id: c9f96cbb66 (このIDを非表示/違反報告)
りおーね(プロフ) - 少し修正します (2019年3月28日 12時) (レス) id: c9f96cbb66 (このIDを非表示/違反報告)
薙(nagi) - 祝!続編!!頑張りましょう (2019年3月27日 22時) (レス) id: 43e3ad1e0e (このIDを非表示/違反報告)
零霧―ゼロキリ―(プロフ) - 長めじゃなかったですね、更新終わりました!あと、続編を作る必要があるみたいなんですが…どうすればいいですかね? (2019年3月27日 21時) (レス) id: 64e187c771 (このIDを非表示/違反報告)
雷夜@馬鹿な小説家(プロフ) - 修正完了しました! (2019年3月27日 20時) (レス) id: 4f6eef4efb (このIDを非表示/違反報告)
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