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第二十五話 ミドリ ページ27

「……なんでなんかなぁ…」


俺はただ疑問に思っていた。

さっき話した被験体のカラス……名前を聞こうとしたら研究員に止められた。あのカラスはフォボス症候群が末期まで進んでいるらしく、元はただの人間だ。

あのグロテスクな子だって、元はただの人間…

嗚呼。


ギリっ

俺は思わず唇を噛み締めた。
被験体なんかに同情なんてしてはいけない。俺は総帥に忠誠している筈……


《総帥を裏切る》


そのな言葉が頭に浮かんだ。裏切る?俺が?総帥を?
…………いや違う。俺は総帥を裏切ったりはしない。そう、


《ドロモスワークスカンパニーを裏切る》


そうだ、カンパニーを裏切るんだ。
あの研究員達を裏切るんだ。
そう、総帥を裏切る訳ではない……


「……………よし。」


思い立ったが何とやらだ。俺は止めていた歩みを再び進ませ始めた。
そして地下から出て少し歩いた先…………そこには我らが総帥様が立っていた。


「お、ミドリ…よかったら今から茶会をしないか?」

「は?」

突然の提案に俺は驚いてしまった。
少し固まりなんと返事を返そうか迷っていたところ、総帥が先に声をかけてきた。

「いやぁ〜新しい茶葉があってな、ミドリにも飲んでもらおうと思ったんだ。」

「…な、なんやそんなことすか……吃驚してもうたわ」


嗚呼……俺はこんなお方を裏切ろうと言うのか。
いや違う。カンパニーを裏切るんだ。総帥は裏切らない。そう、そうだ。

俺が総帥を裏切る筈がない。


「…大丈夫かミドリ?顔色が悪いぞ。」

総帥の言葉で気が付いたが…今は確かに息が上手くできないし、少しくらくらする。
だかって、総帥の誘いを断る理由にはならない。

「ああ……大丈夫や。早よ紅茶の準備しよか。」



俺は無理矢理顔を上げ、おぼつかない足取りで歩み出した。

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りおーね(プロフ) - 修正終わりました〜 (2019年3月28日 12時) (レス) id: c9f96cbb66 (このIDを非表示/違反報告)
りおーね(プロフ) - 少し修正します (2019年3月28日 12時) (レス) id: c9f96cbb66 (このIDを非表示/違反報告)
薙(nagi) - 祝!続編!!頑張りましょう (2019年3月27日 22時) (レス) id: 43e3ad1e0e (このIDを非表示/違反報告)
零霧―ゼロキリ―(プロフ) - 長めじゃなかったですね、更新終わりました!あと、続編を作る必要があるみたいなんですが…どうすればいいですかね? (2019年3月27日 21時) (レス) id: 64e187c771 (このIDを非表示/違反報告)
雷夜@馬鹿な小説家(プロフ) - 修正完了しました! (2019年3月27日 20時) (レス) id: 4f6eef4efb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミクミキ x他9人 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2019年3月21日 17時

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