フォボス症候群 (ページ24)

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第二十三話　カナデページ24

現在、機関の屋上にアタシはいる。

スマホを手に取るとSNSを開き短と長に連絡を入れる。

『小幡さんにお使いを頼む。以下添付した資料(ドロモスワークスカンパニーの内装、やっていることその他諸々の資料)を渡してほしい。終わったら今度好きな物買ってあげる。頑張って～』

そう送った。

次に電話帳を開き『民間軍事会社員、協力組織所属秦野鉄』の携帯電話へ連絡を繋げる。

暫くコールが続くと「はい、小幡です」と小幡さんが電話に出た。
「小幡さーん。ちょっと朗報がありましてねー短と長(お使い)をそっちにやったのでよろしく頼みます。今日中に着くと思うので。んで、明日の8時に総帥を捕まえに行くことになったので助っ人お願いしたいんですけども……」
と言うと小幡さんはため息をついた。
「短と長(お使い)の件は了承した。で、なぜ機関が総帥を捕まえに行くことになった？」
そう言うとアタシはハハ……と空笑いするとハァ……と思いっきり溜め息をついた。

「いやー……政府の上層部の方にカンパニーの報告をしたら……まぁ見事に捕まえろと……いやー参っちゃいますねぇ……政府も危険視しているのは解りますけども『手は加えませんよ』はゲスいと思いません？」
と言うと小幡さんは溜め息をついただけで何も返してこなかった。呆れられたかな……？
アタシは「ま、そんな感じなので……検討お願いします」と言うとピッと通話を切った。

スマホをポケットに仕舞い、別のポケットからチョコレートを取り出すと徐に口の中に放り込む。

口の中にはチョコレートの甘い甘いモノが広がった。

アタシは屋上の手摺に腕を引っ掻け体重を徐にかけると溜め息をついた。

────物凄く『めんどくさい事』になった。

世界一嫌いなもの『めんどくさい事』。

しかもこれは真面目に放り出せない。放り出したら家族の命が危ないのだ。家族をとるか、世界一嫌いなものをとるか……天秤にかければアタシには一瞬の答えが出る。『家族』をアタシはとる。

例えどんなことがあってでも家族だけは護りきる。ねーさんとの約束だし……母さん……ママとの約束でもある。機関の皆には本当に申し訳無いと思っている。こんなことに巻き込んじゃったのだから。

初めはアタシの興味から

段々、段々、アタシの研究成果が世界に出回り

気がつけば『ＷＯＲＬＤＰＨＯＢＯＳ
ＳＹＮＤＲＯＭＥ研究機関』略して『ＷＰＳ研究機関』何て言うとてつもないモノになってしまった。

アタシは空を見上げ小さく溜め息をついた。