第十六話 アイン ページ17
「ふぁ〜…よくねた〜……」
ぼくの1日は夕方からはじまる。ぼくは、『フォボスしょうこうぐん』というびょう気にかかって、夜行せいになってしまったらしい。
いつも通りに、ベッドからおき上がろうとして、いつもみたいにおふとんがやぶけているのに気がついた。ぼくの体は虫さんみたいにかたいから、布にひっかけてやぶいちゃう。ひっかかった糸をほどいていると、ぼくの部屋にだれかが入ってきた。
「おはよう、アイン。体の調子はどうだい?」
ぼくの「せんぞくい」のお兄さんだ。ぼくは、お兄さんにあるものをわたした。
「おはようございます〜。これ、夜に『だっぴ』した皮だよ〜」
「うん、ありがとう。今日の朝食は、ハニーチーズトーストとレタスサラダだよ」
「わぁい」
今日も、朝ごはんはぼくの好きなものばっかり。うれしいな。
さっそくぼくがトーストに手をのばすと、お兄さんはおふとんのシーツをかえ始めた。
「……ぼく、いつか本物の虫さんになるのかな?」
「それは僕たちにも分からない。でも、安心して。君を元どおりに治す方法はある…此処には、『太陽の夢』がいるからね」
お兄さんはわらって、ぼくのかたい手をにぎってくれた。
ぼくがここでくらそうって決めたのは、ぼくのデータが、ほかの『フォボスしょうこうぐん』でくるしんでる人を助けられるから。WPSのみんなにきょう力するために、ここにいる。
「……あ、そうだ」
「どうしたんだい、アイン?」
「新しいペンとびんせん、ほしいな〜」
お兄さんは、あとで持ってくるよとやさしく言った。ぼくのおててだと、うっかり紙をやぶいたり、ものをこわしてしまうのは、お兄さんたちも知っているから。
「アイン、今度は誰に手紙を書くのかい?」
「クランくんだよ〜。ぼくが、前とぜんぜんちがう見た目だったり、クランくんのこと忘れても、おてがみがあれば、クランくんにぼくがアインだって気づいてもらえるから〜」
いっしゅん、お兄さんの顔がさみしげになった気がした。
「……いつか、クランクハイト君に会えるといいね」
今日も、いつもとかわらない一日になる。
これからも、『フォボスしょうこうぐん』がなくなるまで、きっとおんなじなんだろうな。
9人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りおーね(プロフ) - 修正終わりました〜 (2019年3月28日 12時) (レス) id: c9f96cbb66 (このIDを非表示/違反報告)
りおーね(プロフ) - 少し修正します (2019年3月28日 12時) (レス) id: c9f96cbb66 (このIDを非表示/違反報告)
薙(nagi) - 祝!続編!!頑張りましょう (2019年3月27日 22時) (レス) id: 43e3ad1e0e (このIDを非表示/違反報告)
零霧―ゼロキリ―(プロフ) - 長めじゃなかったですね、更新終わりました!あと、続編を作る必要があるみたいなんですが…どうすればいいですかね? (2019年3月27日 21時) (レス) id: 64e187c771 (このIDを非表示/違反報告)
雷夜@馬鹿な小説家(プロフ) - 修正完了しました! (2019年3月27日 20時) (レス) id: 4f6eef4efb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ