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それは、とある日のこと。

私が補佐をしている総統、グルッペンの様子が、ある日突然変わったのだ。

…急になんだ、と思うかもしれない。けれど、誰が見たって可笑しくなってしまったのだ。

1つ目。

いろんなものを、『美しい』と言うようになった。

私も例外ではなく、

「嗚呼、A……お前はまるで宝石の様に綺麗なのだな…」

なんて言い出す始末である。

2つ目。

異臭がしても、それを気にすることがなくなった。

この間、シャオロンが料理に失敗したとき。

『……ねぇ、なんか…臭くない？焦げた様な匂い………』

「ん？そんな匂いしないゾ？」

と、不思議そうに私を見てきたのだ。

その日は、幹部全員がその異臭を感じていたというのに。

3つ目。

ものを壊すのを嫌うようになった。

α国から宣戦布告されたときも、

「宣戦布告？断っておけ。なるべく穏便に行かきたくはないか？」

と言われてしまった。

戦争屋とも呼ばれるうちの軍を纏めていた、大の戦争好きが、宣戦布告を断るなんて考えもしないだろうに。

そして4つ目。

……何も、口に入れなくなった。

それだけじゃない。ぺ神に頼んで栄養剤を投与してもらおうと思っても、嫌だ嫌だの一点張り。

美しいから、そんな理由で。

今日はグルッペンが何も口に入れなくなってから1週間の日。

補佐でもある私は、毎日のように説得しようと試みているのだが、それでも一向に折れないグルッペンをずっと見守ることしかできなくなっていた。

何も、というのは液体も例外ではない。

…生きていく上で一番大切な、水でさえ飲まなくなったのだ。

そりゃあ、倒れるわけで。

『っグルッペン！！目ぇ開けてよ…みんな待ってるよ…？』

「………………」

医務室で眠っているグルッペンの手を握る。

ぺ神曰く、栄養失調などの健康関連のことが重なりすぎてるし、甘党の彼がケーキすらも食べないなんてのは可笑しい、ってことで、とりあえず寝ている今のうちに原因を調べ、栄養剤を投与しておく、とのこと。

一体何が、グルッペンをこんなことに？

そう考えていたとき、背後から声がかかった。

「Aちゃん、原因見つけたよ」

『原因はっ？！』

「しー、静かにしてね、Aちゃん。ここ医務室ね。」

これだよ。

そう言って見せられたのは_とはいえ裏面のナニモ書いていない方だが_とある書類の束。

どうやら、この書類を読んだがために、こんなことにってしまったらしい。