出会い ページ1
「えーっと…、この辺だったかなぁ」
あたりをぐるっと見渡すと、1人、青春学園の制服を着た人がいたので声をかけてみることにした。
「あの…、すみません!青春学園の場所って…」
「あぁ、そこ曲がったらあるよ」
「ありがとうございます!僕、一年の榎本創世です」
彼は、少し笑うと
「俺は、越前リョーマ。よろしくね」
わぁ、イケメンだぁ、なんて思いつつも会釈して、ありがとう、と言うとさっき言われた道を曲がった。
「大きいなぁ、流石、私立!」
ただ、ただ、広いなぁ、綺麗だなぁ、と感心しつつ、事前に案内されていたクラスに入った。
入学したばかりだから、わかりやすいように席は出席番号順に並べられている。
1列目の前から4番目の席に着席すると、すーっと伸びをして机に突っ伏して、入学式の案内を待ってることにした。
「みなさん、おはようございます!1-2組の担任の中原です。では、これから入学式の案内と、教科書の配布を…」
元気のいい感じの女の先生はテキパキと準備を始めた。1時間ほど話を聞く時間があった後、先生は前後で10分間お互いを知るために話し合うようにと言った。
しょうがなく、突っ伏していた顔を上げて前を見る。
どこかで見たこと…
「あ!今日道、聞いてきた奴だ…」
なーんと、びっくり!朝、道を聞いた越前リョーマくんだったー!
「改めてー、僕は榎本創世!よろしくね〜」
「越前リョーマ、よろしくね」
「あのさ!朝聞きたかったんだけどー、おっきなテニスバック持ってたよねー!テニスやってるのー?」
「うん、まぁ」
「僕もやってるんだー!テニス部のためにこの学校に入ったのー運命かな?運命だよね!!」
僕は勢いよく乗り出してそう言った。
「ゴホッゴホッッツ、はぁっ、ごめん…」
興奮しすぎたのか、やはり僕の体は悲鳴を上げた。
「僕、体弱くてさー、よくこうなるんだけどゴホッ、気にしないで」
「大丈夫なの?保健室行く?」
「大丈夫、大丈夫、慣れてるからさ!」
明るい声でそういうと、ニコニコしながら話を続けた。
「左打ちー?右打ちー?」
「両手」
僕は、やっぱり運命だと思った。
「僕も僕もー!僕も両手!!やったー!入学早々リョーマに出会えてほんとに嬉しい」
「その体で、テニスできるの?」
聞かれると思った…一度下を向いてまた顔を上げる。
「薬飲めば全然OK!テニスは好きだし、体で諦めたくないんだ」
リョーマはふーんといいつつ、無理しないで、と言った。
可愛いなぁー。
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作者名:悠灑 | 作成日時:2022年5月11日 8時