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「…………(リッカの表情が、硬くなった)」
先ほどまでのおふざけ、というかリッカの素の表情が消えて、どこかよそよそしさを感じる雰囲気に、リツカは瞬く。
しかし、変化は微細なものでそうそう気付くことはない。現に、隣にいるマシュはジークフリートが何の用だろうかと首を傾げている。
「いや、マスターの貴方たちに伝えておくべきことがある」
「伝えておくべきこと?」
リッカが反復する。
「俺の最期は知っているだろうか。」
(……やべえ、知らねえわ。そもそもジークフリートっていう英雄がいたことすら知らなかったし。俺が知ってる英雄なんて……織田信長とか?いやでも織田信長でも最期といわれると……なんか踊ってたことぐらいしかわかんないわ。)
自然とリッカの視線が泳いでリツカへ向く。
(〜ヘルプの気配を察知〜っと、こういうのは俺の番だな。)
「確か……湖とかで水を飲んでるときに、ほとんど逆恨みみたいなもので唯一の弱点である背中を狙われたとかっていう……?」
リツカは昔読んだ本の情報の記憶を手繰り寄せて口にする。
「ああ。」
それにジークフリートが頷いた。
「えっと……?」
マシュが疑問をかける。
「それでなんだが、マスター」
「「???」」
「気を悪くしないでほしいが、俺の背後には極力近づかないでくれ。あまりいい気分ではないのでな。」
「「アッハイ。」」
ついしゃっきりと背筋が伸びたが、竜殺しは気にせずそのままどこかへ行ってしまった。
「……えーっとぉ、俺の後ろに立つなってことでしょ?」
ゴルゴ13かよ、とリッカは思った。
「まあ、……そうなる」
戦闘の時どうしよう、とリツカは思った。
「……とりあえず、管制室に行きましょうか」
マシュは妙な空気を変えようと、考えている先輩×2の手を引っ張り、管制室へ向かう。
「フォウ!」
「あっ、フォウさん。おはようございます、お散歩ですか?」
途中、白い影が三人の前に現れた。マシュはリツカとリッカの手を放し、目線を合わせるようにしゃがみこんだ。
マシュにつられて二人もフォウを囲んでしゃがむ。
「おー、今日もモフモフしてるなー」
「うちのアイドルだな、」
「「マシュと二人(?)組の」」
眼鏡後輩系美少女とふわふわあざとい系小動物がじゃれているのはいかんせん絵になる。マシュは気付いていないが。
「どうかしましたか?」
「うんうん、なんでもないよ。マシュ」
「今日も頑張ろうね、マシュ」
「???は、はい!」
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作者名:大豆/RPK x他2人 | 作成日時:2017年6月11日 16時