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3 大豆 ページ4

「先輩!」

管制室のドアを開けた途端、瓦礫とコフィンの残骸に埋もれるように一人の少女、マシュ・キリエライトがいた。
時間的な面からみるとそう多くの時間を共有にはしていない。けれど、あの地獄のような、未熟者の自分が命を落としてもおかしくないあの特異点Fで紛れもなく、確かに、藤丸立香という存在はマシュと共にいた。

「「マシュ!」」

二人のマスターはマシュに駆け寄る。そして、抱擁を交わした。
大切そうに自分に抱きしめる彼らを、同じく彼女は抱き返した。お互いから感じるぬくもりがお互いの生を実感させる。

「無事でよかった」

「ありがとう」

僅かに違う声のトーンで、それぞれ本心からの言葉を受けてマシュは微笑んだ。

暫しの抱擁の後、気まずそうに、それでいて落ち着かなさそうに咳払いをするロマン。それにより三人は離れる。

「生還おめでとう。リツカ君、リッカ君。さて、早速だけど本題に入らせてもらうよ。レオナルドから説明があったと思うけど、君たちに起こっているイレギュラーな事態については現段階では『そうであってほしい』という仮説に基づいたものだからそれが真実、或いは虚偽かもしれない」

あれはおおよその憶測でしかないのか、とリツカは理解した。

「しかもこの先、『二人の人類最後のマスターが存在する』、という事実に抑止力が発現する場合だって無きにしも非ずだ。そうなったらどちらか一方が、命を絶つことになる」

抑止力。

世界を守るための装置、銃でいうところのセーフティにあたるものだ。本来はありえないはずのリツカとリッカ、そのどちらかを排斥しようと行動する可能性があるという話だ。

「それ以前に、君たちもわかっていると思うけどレイシフト先での命の保障はできない。何せ人理をひっくり返すほどの尋常じゃない出来事だ。当然、人類史に立ち向かうのだからそれ相応の覚悟、力が必要になってくる」

どくり、と心臓が跳ねる。指先が冷えきり、見えない何かから押しつぶされているような圧迫感とどこかもの寂しい孤独感を感じた。

「全部をひっくるめて、君たちには選ぶ権利がある。半ば強制しているように聞こえるかもしれないけれど。2016年から先の未来を、人類を救いたいのなら……力を貸してくれないか」

俺は、最初から__

隣に目を向けると目が合う。向こうも覚悟を決めたようだ。

大丈夫、二人一緒なら怖くない。

リツカとリッカの手が重なる。そして、声を揃えて言い放った。

「「もちろんです」」

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作者名:大豆/RPK x他2人 | 作成日時:2017年6月11日 16時

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