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イタカくんはいつも、ゲームで真っ先に私を狙う。けれど、私をダウンさせてもチェアには括らずに、その場に残して他の三人を探しにいく。そして上手く全員を捕まえて荘園に送り返すと、倒れている私のところに戻ってきて"お話"をしたがるのだ。私が血を流し続けて、やがて沈黙するまで。
当たり前だが、失血死するほうがロケットチェアで飛ばされるよりも辛い。じわじわと血がなくなって、身体がすうっと冷えていくあの感覚。意識を失うことも出来ず、ただ、じっと死を待つだけの時間。しかも、その間、いつでも私を吊れるはずの彼は一人で訳の分からないことを楽しそうに口走っているのだから、恐怖でしかない。最初の時なんて、荘園で目を覚ました後に半狂乱になって泣き叫び、仲間たちに抱えられて医務室に運び込まれたほどだ。
みんな、イタカくんとのゲームで毎回ダウン放置される私を心配してくれたし、何故そんなことをするのかと彼を不気味がってもいた。理由なんて、私にも分からなかった。だから一度、思いきって聞いてみたことがある。どうしてこんなに酷いことをするの、私が貴方に何かしたの、と。地面に倒れ伏して、殴られた頭から血を流しながら。そうしたら、彼は笑ってこう言ったのだった。
「だって、チェアに座らせたらすぐに飛んじゃうじゃない。僕はただ、君とお話したいだけだよ。ほら、僕たちハンターとサバイバーって、ゲームでもないとなかなか会えないでしょう？僕ね、君のこと気に入ってるんだ。……初めて見た時から、ずうっと。かわいいなって、思ってた」
つまり、彼はお喋りがしたいがために、ゲームのたびに私を失血死させているのだ。お気に入りのものを痛めつけて笑顔でいられる彼のことは、私には理解できない。けれど、それはきっと倒錯ではなく、正真正銘の純真なのだと感じた。逃げるなら、追いかけて、引き留める。子供の鬼ごっこのようなものだ。その日から私は、イタカくんのことも、失血死することも、それほど怖いとは思わなくなった。
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KV(プロフ) - ゆずとぽん酢さん» 初めまして、コメントありがとうございます。イタカくんのお話はどれも好きな感じに書けたものばかりなので、そう仰っていただけてとっても嬉しいです…！不定期ですがこれからもちまちま更新していきますので、お付き合いいただければ幸いです。 (4月26日 21時) (
レス) id: 77374e0db2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずとぽん酢 - ま〜、、、本っ当に最高な短編集だことッ！作者様この度は素敵な作品を書いてくださりありがとうございます!!私は特にイタカくんの話が好きです!!! (3月28日 0時) (レス) @page16 id: 55c4e71bc7 (このIDを非表示/違反報告)
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