夜のアスファルト*tetsuya ページ27
「ふざけんで！」
『ふ、ふざけてないって！そっちが…』
「うっさいもうてつやの顔見たくない！」
『そんな言い方せんでもいいやん、っ』
「ばか！」
家を飛び出した。
エレベーターのボタンを押すと乾いたベルの音が夜の空に響いてドアが開いたと同時に乗り込む。
一階に着くと駐車場の隅に隠れて嗚咽を漏らした。
私が悪い、私が悪い…
何回も唱えるのに口は言うことを聞いてくれなくて怒鳴ってしまう。
ああいうやつってわかってて付き合ったのに。それでもいい？って聞かれてOKしたのに。
てつやならそれでも愛せるってそう思ってたのに。
いつの間にか縛り付けて、彼が顔を顰める度にイラってして頭に血が上って制御できない。
ああ、ダメだな。
きっともうこれ以上続けたらダメだ。
足音がして顔を上げるとカバンとコートを持ったてつやがいた。
『今日は帰ってゆっくりし？』
キレ返してくれたら楽なのに。
底なしの優しさに甘えて甘えてここまできた。
「てつやっ、わたしっ」
最近減ったLINEも電話もお互いの心の距離を表しているようで
『うん』
「もうむり…」
『…もうむり、か』
こくんと頷くとコートがふわっと肩にかけられた。
彼はしゃがんで目線を合わせると苦笑いして、そしてひとつ深呼吸をした。
『ばいばい、するん？』
「ごめん…っ」
大好きだった大きな手。頭にポンっと乗せられ優しく１回撫でられた。
『楽しかった、ありがと』
「わたしも、ったのしくて…たのしくて……」
『うん』
「ごめんなさい…っ…いっぱい怒ってごめん…」
『ううん、俺も嫌な思いさせてごめんね』
ぶんぶんと頭を振ると彼は立ち上がった。
『送る？』
「ううん…」
『そっか』
お互い向き合って地面に目線を落としたまま少しの間沈黙が流れる。
『じゃあ、おれ戻るね』
「うん」
『また…
と言うとてつやは、あ、と声を上げて違ったね、と小さく呟いた。
顔を上げると今にも零れそうなくらい涙を溜めて彼はふんわりと笑った。
『じゃあね』
「…じゃあ、ね」
てつやはエントランスの方へ、私は駅へ
逆方向へと歩き出す。
長い人生、もう一生会わないのだろうか。ご飯ちゃんと食べるかな、お風呂入らないんだろうな。
さよならと言えなかった。ああ、これは随分と引きずるやつだなぁ。ははって乾いた笑いが出た。
飽きる程通った岡崎は今日もあまりにもいつも通りで、最後に目に焼き付けようとしたのに視界がぼやけてよく見えなかった。
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びねがぁ(プロフ) - なぁさん» ありがとうございます！いかにも言いそうな事を書きたかったのでそう思って頂けるのは嬉しいです！(○´ｰ`○) (2018年11月14日 14時) (
レス) id: cafa26f311 (このIDを非表示/違反報告)
なぁ(プロフ) - とりあえずライン交換せん？でてっちゃーーーん泣ってなりました笑 面白いです！ (2018年11月14日 1時) (レス) id: 07945c6d2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：びねがぁ | 作成日時：2018年10月26日 17時
