帰れない gt ページ9
軽い無視から始まった陰湿ないじめ。何をしたか記憶にないが何かが気に食わなかったのだろう。
いじめなんて大した事ないと思っていたが結構くるものがあった。
「ねぇ、A?おもしろーいトコに行こうよ」
いつも虐めてくる数人の女子が取り囲み、言ってきた。
『なに、どこ行くの』
「いいから。早くしろ」
強引に腕を引っ張られ、よくわからない電車にのって連れて来られたのは廃墟のような所。
烏が鳴いている。もう時間的に空は暗い。薄気味悪くて、如何にもでますよ、と言いたげな場所。
寒気が一面を覆っている。
リーダー格の女は嘲笑った。
「ほら、此処。肝試しにピッタリでしょ?あんた一人で行くのに丁度いいでしょ」
後ろからドン、と背中を押され、よろけ、膝をつく。
大袈裟ぁ!と笑う女を無視して立ち上がる。前に進めば還ってこれない様な雰囲気。帰りたくても数人を撒ける自信はない。
行かなければいけない、諦めるしかない。
そう思った時、一人の女が言った。
「あれ、アタシ達どっから来た?」
時間が止まる。
何を言ってるんだと思った。
皆が後ろを見た。だが来た道がない。木で塞がれてどこにもない。
「は?、アタシ達帰れない…?」
誰が言った。
「あ〜、そうだねぇ?」
誰が言った。だけどこれは自分たちの声じゃない。男の人の声。廃墟の方から聞こえた。鳥肌がたって、背筋が凍った。
途端、何かが横を過ぎ、誰かが叫んだ。
何が起きたかわからなかった。振り返り、その方へ目を遣る。リーダー格の女が血を出して倒れている。その隣に布袋を被り、赤い液体が滴る糸鋸を持つ人物。脚が見えなくて、宙に浮いている。
状況を理解した周りは叫び、走る。
逃げなきゃ。その一言に限った。
体が硬直したが無理矢理体を動かし一心に駆ける。
「はははははは!!」
その人物は狂ったように大声で笑った。そしてこっちに糸鋸を振ったのが腕に当たる。
血が出るが気にせず逃げた。取り敢えず遠くへ。速く。
走る、走る、止まる、走る。
空気が欲しくて肺が痛い、斬られた腕からボタボタ血が流れ出して、ズキズキと痛む。でも、そんなこと気にしてなんかいられない。
多分続きます→
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宗介(プロフ) - すいみん。さん» 自分で書いてて解釈不一致だったり遠回しな物言いだったりしていますがそう言っていただけて感謝でしか無いです。時間は空くし彼らへの記憶もどんどん抜けてっていますが更新し続けますのでお気楽に見てってくだされば嬉しいです (3月3日 17時) (レス) id: 9374b91c4e (このIDを非表示/違反報告)
すいみん。(プロフ) - 𝐼 𝑙𝑜𝑣𝑒 𝑦𝑜𝑢…大好きすぎます…小説の雰囲気がどストライクです…。無理なさらず更新頑張ってください🙇♀️💕 (3月3日 1時) (レス) @page22 id: f12e90341c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:宗介 | 作成日時:2022年10月15日 18時