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あれから月日は流れ気づけば卒業が目の前だった。
変わらず昼休みは生徒会室に足を運んでいた。
部活動が休みの今日は放課後も足を運んだ。


「Aさん、いらしてたんですか?」

『柳生くん!ここへくると落ち着くんだよね。』

「私も同じです。それにここからはコートがよく見えますので。」

『そうなんだよね、高等部にあがったらここからの景色も見れなくなるんだよね。』

「いつでもいらして下さい。Aさんなら大歓迎ですよ。」

『…私ね、1年生までテニス部にいたんだよ。』

「園芸部ではなかったのですか?」

『怪我しちゃってさ、辞めたの。』

「そう、でしたか…」

『コートまで行くとどうしても身体が疼いちゃうからここからいつも眺めてるんだ。』

「テニス、お好きなんですね。」

『うん、大好きっ。…だから柳生くんたちが彼のことよく思ってないことも分かるよ。』

「…毛利先輩のことですか」

『少しでも友好でいてほしかったけど、でも私じゃ力不足だったなあ』

「そんなことわ!」

『…ごめんね、本当に。この2年の間嫌な気持ちさせたよね。』

「…Aさん?」


ふと彼女の顔をみれば頬には涙がつたっていた。


「なぜあなたが泣くのですか?」

『…だって私悔しくて。』


その一言で彼女の気持ちを悟ってしまう私は
ジェントルマンであることに嫌気がさす。


それとは裏腹に気付けば彼女を抱きしめていた。


「今日だけは私の胸で好きなだけ泣いてください」

『っ!…ありがと、柳生くんっ』


大好きなテニスができない彼女
才能にかまけて練習をしない彼氏
立海3連覇に向け闘志を燃やす私たち


私ならこんな顔させないのにと思う反面
この人は本当に彼が好きなのだと思い知らされた。




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作者名:ひーちゃん | 作成日時:2022年2月10日 18時

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