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役員を終え部活に向かう。

私たちよりも先に出ていったAさんは
もう帰ったのかと思えばテニスコートにいた。

声をかける隙もなく通り過ぎる。
遠目に見えたあなたは私の知らない笑顔で彼と話していた。



"


『今日はサボらず練習してたんだね!』

毛「当たり前やろ?今日の2年生テニス部やろ?」

『柳生くんのこと?』

毛「ほんなら俺負けてられへんやん?」

『先輩としてライバル心が芽生えたってこと?』

毛「まあそんなとこや!Aが見ててくれてる思たらいくらでも頑張れるわあ」

『ふふっ。終わるまで待ってるね!』

毛「おおきにな!ほなもうひと頑張りしてくるわ!」



"



さっき見たことを忘れるようにと外周に精を出す。
無我夢中で走っていれば声をかけられ振り向いた。



『ちょーっと、ストップ!!』

「…Aさん、どうかされましたか?」

『どうかされましたか?じゃないでしょ!飛ばし過ぎだよ?』

「つい、気をつけます。Aさん帰られたんじゃなかったのですね。」

『これ、使って?』

「私に、ですか?」

『うん、ずっと渡そうと思ってたけど渡せてなかったの。』

「…嬉しいですね。大切に使わせてもらいます。」



頑張ってね!とあなたは去っていく。
その後ろ姿にまた心が躍った。
渡された黄色のタオルを首にかけもう一度走り出した。



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作者名:ひーちゃん | 作成日時:2022年2月10日 18時

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