ソウルメイト (ページ31)

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ab side

sk「あべちゃん、また研究？」

ひょこ、と佐久間が首を覗かせた。

ab「うん。今日の掃除当番代わる替りに康二の血液を採取させてもらった」
sk「え、そんなんでいいの…！？あいつ大丈夫なの？」
ab「俺たちと大して変わりないけど…多少の違いはあったかな。本当は室さんのも採れてたら遺伝子が一緒かわかったんだけどね」
sk「まあ死んじゃったしねぇ」
ab「こら、言い方。佐久間はもっと人を大事にしなきゃダメだよ」
sk「さくまはあべちゃん以外どうだっていいもん」
ab「はぁ……」

自分より年上のくせに、言動は子供っぽい佐久間。
でも自分の意思をしっかり持っているし、善悪の判断もはっきりしている。
俺絡みになると判断が鈍るのは良くないけどね。

ab「ほんとはラウールのことも研究したいんだよね。だからふっかが提案した時内心やった！って思った。」
sk「あべちゃんそういうとこあるよね…」

佐久間はどこか呆れ顔だけど、仕方ないじゃん。
今までも人造人間にあったことはあれど、”愛玩型”なんてものは初めて見た。俺たちと違い身体強化される必要がないので、作られ方も違うはずだ。幼少期の教育プログラムも違うだろう。

そもそも、ラウールに能力はあるのだろうか。
人間兵器として作られていない彼に能力は必要ない。
目黒には”再生”があったけど…それがどれくらいの威力かも気になるな。

sk「ね、ブツブツ1人で唱えないで…こわ…」
ab「あ、ごめん」

sk「ていうかさ、こないだの翔太と涼太の研究はどうなったの？なんか共鳴がどうたらだって言ってたじゃん」
ab「ああ、それはね…、詳しくはわからなかったんだけど、やっぱり自分のソウルメイトが傷付いたことによるショックで暴走しちゃったのが正しいかな。
共鳴っていうのは本来2人が一緒に引き起こすもの。あれは翔太が一方的にって感じだったからね」

すると、佐久間は俺の両手を優しく握ると、ゆっくり目を閉じた。そうして幸せそうに微笑む。

sk「さくまがあべちゃんと共鳴出来たら、きっとなんでも壊せるよ。
あべちゃんが嫌なもの、ぜーんぶ、」

佐久間、ごめんね。
優しかった佐久間を、こんな風に変えたのは何だろう。
…いや、これも佐久間が優しすぎるから起こった結果なのかもしれない。

ゆっくりと、俺も目を閉じて、考えることをやめた。