60話 ページ12
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辻村「患者は坂本美月さん22歳女性。整形クリニックから来た患者で、右肩の痛みを訴えているのですが...検査では異常が見当たらずこちらへまわってきました。」
カンファレンス室で大型のテレビにレントゲン写真を映しながら説明する辻村。
カンファレンスにはAをはじめ、鏑木や甘春、そして技師の小野寺、軒下、広瀬が参加していた。
A「原因不明、ということですか?」
Aが問いかけると辻村は頷き、続ける。
辻村「現状、痛みの原因がわからない状態です。骨ではないので肩腱板断裂を疑っていたのですが...甘春先生...」
そう言って辻村は甘春へ検査結果の報告を促すと、広瀬が戸惑った声を上げてから肩腱板断裂について調べ始める。
それを見た鏑木は怪訝そうな表情を浮かべていた。
甘春「...そうですね...MRIを撮らないと正確な判断は出来ませんが、明らかな異常は見当たりません。紹介状に書いてある現在やっているギターというのも原因としては考えにくいかと...」
辻村「...ですよね.....であれば、しばらく様子を見ます。宜しいですか?」
するとAはホチキス止めされた紙をめくりながら呟く。
A「.....ですがこの写真...関節の抜けが甘いですよね。一度撮り直してみるのはいかがでしょう?」
鏑木「...私は様子見で宜しいかと思われます。」
鏑木はAの返答に鋭く反応する。
それに対してAは特に言い返すこともせずじっとレントゲン写真を見つめていた。
広瀬「...ぬ、ぬけ?」
すると広瀬は新たな語句に再び困惑したのか参考書をペラペラとめくり始める。
軒下「...レントゲンを撮る際に、ピンポイントで関節の隙間を取ることを"関節を抜く"っつーんだよ...!!」
広瀬「...そ、そうなんですね...」
苦笑いしながら広瀬は頷いていると、鏑木が痺れを切らして立ち上がった。
鏑木「技師長。この程度の知識がない者をカンファレンスに参加させないで頂けますか?人員の無駄ですから。」
A「.....」
小野寺「...すみませんね。でも勉強ですから。」
まあまあ、といって宥めるように笑う小野寺は睨み、立ち上がりながら応える鏑木。
鏑木「これはお勉強会じゃありません。」
それだけを言い残して去って行った。
広瀬「.....すみません...」
広瀬は小さく呟き、苦痛な表情を隠すように頭を下げる。
そんな彼女の様子をAや小野寺はじっと見つめていた。
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奏奏奏(プロフ) - リディア94さん» ありがとうございます…!大変遅れまして申し訳ありません!続編を作成致しました! (2019年7月16日 22時) (レス) id: 681665cbc9 (このIDを非表示/違反報告)
リディア94(プロフ) - すごくいいところで話が終わってる…ものすっごく素敵で面白い話なので、続き早くみたいです!!!更新待ってます! (2019年7月16日 15時) (レス) id: 4cfe601cb3 (このIDを非表示/違反報告)
奏奏奏(プロフ) - あいちゃむさん» ありがとうございます!毎日少しずつではありますが頑張っていきたいと思います´`* (2019年6月29日 12時) (レス) id: 681665cbc9 (このIDを非表示/違反報告)
あいちゃむ(プロフ) - 毎回、更新楽しみにしてます!継続は大変だと思いますが、無理をなさらず可能な範囲で。。 (2019年6月29日 1時) (レス) id: a51c69fc03 (このIDを非表示/違反報告)
奏奏奏(プロフ) - 茉莉花さん» コメントありがとうございます!とても励みになります…*_ _) (2019年6月13日 22時) (レス) id: 3daaf042e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:奏奏奏 | 作成日時:2019年6月13日 20時