12話 ページ13
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小野寺｢...おい、後どれぐらいだ？｣
ピコン、とまた一段階欠損部分が狭まると、小野寺が口を開いた。
悠木｢急いでください...急いで！｣
A｢わかってます...！！...そろそろカテーテルが到達する頃.....｣
時間がない...！！
Aは残り僅かの欠損部分を見つめ呟く。
は、と震えた吐息が口端から漏れる。
カチカチと歯と歯が乾いた音を鳴らした。
間に合わないの...？
彼を助けることは出来ないの...？
ーーーー私は、何のために医者になったの？
完璧じゃなきゃ、駄目なのに。
｢大丈夫です。｣
ふと、隣から優しげな声が聞こえ、淀んだ思考の渦から引き出される。
｢必ず、間に合いますから。｣
Enterキーを押して、彼はふわりと微笑む。
彼は私が追い切ることが出来なかった処理を全て終わらせてくれていたのだ。
ピコン、と機械音が響き渡るまでの時間が酷く長く感じられた。
A｢...見、えた.......｣
肺の酸素を出し切ると同時に、椅子の背もたれへと身を任せる。
広瀬｢何ですかこれ...！？｣
五十嵐｢菊島さんの病室から写真集を持ってきてください。｣
広瀬｢写真集...！？...は、はい！｣
すると五十嵐は立ち上がり口元を緩めて｢お疲れ様です｣という言葉を残して血液室へ走って行った。
A｢.....すごいな...｣
私はモニターに映る欠損部分の消えた菊島さんの脳を見つめる。
私だけでは見つけることは不可能だった。
A｢ホント...さすがです。｣
Aは原因を見つけた、と医師らに伝えている五十嵐の元へパソコンを持って立ち上がった。
五十嵐｢ウェステルマン肺吸虫...寄生虫です。｣
甘春｢寄生虫...！？｣
A｢はい、ウェステルマン肺吸虫はアジア地域やアフリカ・南米に生息するその名の通り主に肺に寄生する寄生虫です。｣
五十嵐｢脳に寄生した場合、頭痛、嘔吐、癇癪などの発作や運動障害が生じます。｣
そこまで伝え終えると、丁度タイミング良く写真集を持った広瀬が｢ありました...！｣と言いながらラジエーションハウスへ入ってきた。
五十嵐は｢ありがとう｣と言ってそれを受け取り、ペラペラとページをめくり始める。
...！...そっか、ウェステルマン肺吸虫は主に淡水産の生のカニ...菊島さんは世界を渡り歩く写真家だから現地で食べた可能性があるんだ...！
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奏奏奏(プロフ) - 愁さん» ご指摘ありがとうございます*_ _)訂正致しました！ (2019年6月28日 19時) (
レス) id: 681665cbc9 (このIDを非表示/違反報告)
愁 - はじめまして(*^^*) いきなりすみません...。 物語読んでいて気が付いたのですが...。 設定のここの部分 すると講義で五十嵐が日本で技師として働くということを耳にし、アメリカで修行を詰んだ後に帰国。 これ正しくはアメリカで修行を積んだではないんでしょうか？ (2019年6月28日 18時) (レス) id: fa78cdaff1 (このIDを非表示/違反報告)
奏奏奏(プロフ) - SUBARUさん» ありがとうございます！これからお話を進めながら主人公の過去編なども交えていけたらいいなと思っています。五十嵐さんの天然な所を描くのが難しくて苦戦していたのでとても嬉しいです！ (2019年6月10日 20時) (レス) id: 3daaf042e6 (このIDを非表示/違反報告)
SUBARU - 主人公のご両親の亡くなり方がとても切ないですね‥‥。後、五十嵐さんの天然さがちょいちょい表れるところが、やっぱり大好きです！ (2019年6月10日 1時) (レス) id: 9ff0393da1 (このIDを非表示/違反報告)
奏奏奏(プロフ) - SUBARUさん» ありがとうございます！ゆっくり仲を深められたらなぁと思っています。今後ともよろしくお願いします´`* (2019年6月7日 20時) (レス) id: 3daaf042e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：奏奏奏 | 作成日時：2019年5月28日 20時
