僕たちがやりました 2【市.橋.哲.人】 (ページ14)

今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:53,789 hit

51話ページ14

目を開くと倉庫にいた。手が縛られていて少し窮屈だ。

前を見ると有原くんと市橋くんが何かを話していた。

有｢市橋くん、見ててくださいね。俺が矢波高まとめるところと、蓮子とAを回すとこ｣

話が違う。私が来たら辞めてくれるって。

声を出そうとしたが出ない。体は震えている。

有原くんの手にはナイフ。それで、市橋くんをどうしようと思ってるの？

ねえ、お願いだから、壊さないでよ。

『やめて......！やめてよ！』

やっと、声が出た。

有｢あ？姫様のお目覚めですか？｣

馬鹿にしたような笑い方をし私の方へ近づく。

『ねえ、私がきたら手、出さないって約束したよね？』

有｢知らねーなあ｣

『ふざけないでよ！』

私が有原くんを睨むと有原くんは私の髪を掴んで顔を寄せる。

有｢黙れよ｣

目を逸らすことはできない。

今まで見たことのない表情。私をバイクで学校まで送ってくれた、由佳を本当に大切そうにしてた。

あの有原くんはどこに行ったの。

怖いわけじゃない。それなのに、涙が溢れてくる。

『こんなの......っ有原くんじゃないよ......』

有｢うるせーな｣

そう言いまた、私の腹を殴る。

市｢やめろ｣

有｢あ？｣

市｢頼むから、やめてくれ。もうこれ以上、地獄見せんな｣

市橋くんが有原くんに近づき、ナイフを奪う。

『市橋くんっ......』

市橋くんが、ナイフを自分の胸に突き刺す。

有｢おい......！お前、何やってんだよ！？｣

『市橋くんっ、市橋くんっ』

痛いお腹を抑えながら市橋くんの元へ駆け寄る。

市｢矢波高とかてっぺんとかどうでもいいんだよ。殺りたきゃ、俺を殺れ｣

市｢っ......俺は、もう終わった人間なんだよ｣

有原くんたちは流石にやばいと思ったのか逃げていった。

『市橋くん、嫌だよ。市橋くん！！』

駆け寄るが返事はない。口から出る血、腹から出る血。私には止めてあげることができない。

『蓮子......救急車っ......』

蓮｢うん......！｣

市橋くん。目を開けて？まだ、市橋くんに伝えられてないこと沢山あるんだよ？

お願い。

私の目から零れる涙は市橋くんの頬をつたった。