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3話 ページ4
ふと我に返り重岡くんに気づかれないように私も桜を眺める。
桜はあの頃から何も変わらない。
桜の樹の下に腰を下ろす。
目を閉じると風の音、桜が風で揺れる音。自動車が通る音。自転車の音。
沢山耳に聞こえる。
私の脳内には懐かしかった家族4人での思い出。
一つ一つ鮮明に思い出せる。
何一つ忘れちゃいけない。大切な宝物である。
「なあ」
少し鼻にかかった高めの柔らかい声。
目を開けるとそこにはさっきまで桜を眺めていた重岡くん。
「よくここ来るん？」
いつもとは少し違う雰囲気の重岡くんに違和感を覚える。
『うん。重岡くんも？』
そう私が聞くと首を振っていつもの笑顔で
「いいや、でも、ここ気に入った」
といった。
左の頬にある笑窪。顔をクシャッとして笑う笑顔。彼には人を惹き込ませる力があるのだと実感した。
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作者名：羽月＠活動休止中 | 作成日時：2019年2月22日 23時
