幻の最強【東リべ】弍 (ページ23)

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万次郎には幼馴染がいた。

眠いってだけですれ違った奴を殴り、腹が減れば車にガソリン撒いて火をつける。そんなバカで何考えてるか分からない幼馴染。

_壱番隊隊長場地圭介_

「東卍の"創設メンバー"なんだ。東卍はさ中1の時、オレとドラケン、三ツ谷、パーちん、場地...」
「その5人で？」
「.....ああ。コイツらが集まって旗上げしたチームなんだ。

タケミっち。場地を"芭流覇羅"から連れ戻してくれ。オレ、アイツの事大好きなんだ。」

武道は万次郎の頼みを引き受ける代わりにと、場地を連れ戻したら稀咲を東卍から外すように頼み込む。

そしてそれを了承した万次郎。

「近いうちに芭流覇羅とぶつかる。それまでにオマエが場地を連れ戻せ。オマエが稀咲より役に立つ奴だと証明しろ。

稀咲がヤベー奴なのはオレもわかってる。同時に稀咲の"力"も認めている。東卍のこの先に稀咲の"力"が必要だ。

オレに貢献しろ、タケミっち。オレに交換条件を出したんだ。

失敗したら＿殺す」

ゾッとするような光のない万次郎の目に、武道の背筋に何かが走る。

☆

木の影に隠れて話を聞いていた三ツ谷は、万次郎に呼ばれて姿を現す。

「三ツ谷、弍番隊(オマエんトコ)にタケミっち入れることにした。

今日から正式に東卍のメンバーだ。ヨロシクな♡」

だらしのない顔で頭を下げた武道に三ツ谷はゲッソリとする。たった1度の盗み聞きで厄介者(タケミチ)を押し付けられたのだ。

「ああ...もうクソｯ!! おい新汰。テメェも出て来いや」

自分と同じように盗み聞きしている奴を巻き込まなければやってけない。

「あン？新汰も聞いてんのかよ」
「新汰って誰...？」
「チッ」

三者三様の反応をし、舌打ちをした人物が三ツ谷とは別の場所から出てくる。

「テメェ巻き込むんじゃねぇよ、三ツ谷」
「盗み聞きしてるオマエが悪ぃ」
「はい、ブーメラン」

パンチや刈込の入った派手な髪型の多い東卍ではなかなか珍しいスポーツマンのような黒髪短髪で、東卍の特攻服を着た男が三ツ谷と軽口を叩き合っている。

しかし隊長でもなく、個人的に関わりがある訳でもない新汰を武道は知らない。

「弍番隊の鈴木新汰だ」
「今は東卍にいるが、本当の所属は有罪。東卍と有罪の繋ぎ役だ。」

三ツ谷と万次郎の紹介に武道は目を見開く。まさか天下の有罪のメンバーが東卍にいるなどとは思いもしなかった。