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2017年_東京某所_
キチッとしたスーツを着た稀咲は、いつもの余裕そうな表情は何とかキープしてはいるが冷や汗をダラダラと流していた。
そんな稀咲の目の前には頬杖をついているサラサラの銀髪を背中まで伸ばした相変わらずの美男子である稜介。
東京卍會の総長代理という地位についている稀咲だったが、いくら彼であっても稜介には逆らえない。東卍の一員でもなく、ただの懇意にしている大企業の会長だが、彼に逆らえば本人からの罰に加え、稀咲の唯一の上司である佐野万次郎からも重い罰を下されるだろう。
立っている稀咲に向けるその視線は氷のように冷たく、思わず膝をついて頭を垂れなければと無意識に思ってしまうほどだった。
『稀咲ィ...』
「...はい」
『テメェなら俺の言いたい事わかるよな?』
「...申し訳ありませんでした」
そうそう向けられることの無い稜介からの圧に、気づけば体は震え、それでも流れるように腰を90°に折って謝罪をする。
稜介が珍しくここまでイラついているのは、稀咲が千堂敦の家族を人質にとり、彼に命令して橘日向を殺させたから。
反社と呼ばれる存在であっても、稜介は一般人には手を出さないようにしてきた。
『彼女を殺すことにそれだけの意味と理由があるなら聞いてやる』
☆
『ハッ、ぁッハッハッハッハッハッ!!!
はぁ...』 バンッ
「ッグ!!」
一頻り笑った稜介はそのまま流れるように懐から拳銃を取り出して、稀咲の左腕を撃ち抜く。
『テメェには失望したぜ、稀咲。
出ていけ。しばらく俺の前に姿を見せるんじゃねえ
息の根を止められたくないならな』
笑っていた時とは打って変わって_否、笑っていた時も凍てつくような笑い声だったが_冷たい表情の稜介は慣れたように拳銃を懐に仕舞いなおすと、すっかり興味がなくなったかのように机に置かれた書類を手に取る。
「失礼しました...」
稀咲は歯を食いしばり、脂汗を流しながら撃たれた箇所を押さえてフラフラと部屋を出ていく。今回稀咲が殺されなかったのは
並の構成員なら瞬きのうちに儚く命を散らしていただろう。
その実、橘日向を殺した事を咎められ、稜介が拳銃を手にするほど怒らせた稀咲だったが、彼は千堂を使って殺した事を微塵も後悔はしていなかった。
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Risa(プロフ) - 続き待ってまーす!!! (2023年4月19日 17時) (レス) @page32 id: 2b536c0b94 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - 続きが見たいです! (2023年3月15日 17時) (レス) @page32 id: 3b16f5e0a5 (このIDを非表示/違反報告)
りさ(プロフ) - 続きが凄く気になります、! (2022年8月13日 9時) (レス) @page32 id: f148938447 (このIDを非表示/違反報告)
runva - 続き待ってます〜 (2022年6月4日 20時) (レス) @page32 id: b1b697b532 (このIDを非表示/違反報告)
。 - 続きはよ (2021年9月27日 7時) (レス) id: 428de36953 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼月 | 作成日時:2021年8月3日 17時