幻の最強【東リべ】弍 (ページ11)

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繁忙期で徹夜を連チャンでしていた稜介は、仁斗に執務室を追い出されて寝るでもなく夜の街をウロウロしていた。

本当はバイクを流したいところではあったが、今の稜介では確実に事故る。もう十何年も事故ってない稜介でも、躊躇うほど頭が働いていない。

「ちょっと離して!!」

そんな状態でも、さすがにこの声は聞こえる。

「オマエ、東卍の奴と仲良いんだろ？」
「そっちの子も結構かわいい顔してんじゃん」
「オマエで何人釣れるかなァ？」

「やめて！」
「離してください！」

どうせそういう輩(・・・・・)がかわいい女の子に絡んでいるのだろうと路地裏を探したが、その絡まれている子の片方が妹分だとは思わなかった。

『何オレの妹分に手ぇ出そうとしてんの？』

不良は焦った。たまたま見つけたかわいい子を使って東卍を貶めようとしていたはずが、音もなく近づいてきた見知らぬ男に仲間がぶっ飛ばされていたのだから。イケメン滅べ！

稜介はそのまま妹分＿エマ＿の手首を掴んでいる奴の顎を蹴り、よろけた彼女を腕の中に抱き込んで巻き込まれるのを回避。

「綾兄(りょうにぃ)!!」
『おー、エマ大丈夫かぁ？』
「うん！ウチは平気！」
『ん、ならそっちの子と目ぇ瞑ってちょっと待っとけ。すぐ終わらせる。』

6人中2人が数秒の間にダウンし、残りの4人は強すぎる相手を前に背を向けて逃げようとする。

「アｶﾞｯ」
「ｸﾞｧｯ!!」
「ｶﾊｯ!」

『何逃げようとしてんの？

あのさぁウチのシマで勝手な事されちゃ困るんだよなぁ。クズ共が』

残された1人は稜介を前に腰を抜かして後退る。

「あ、あぁ...ごめ、ごめんなさい...」

『しょーがねぇからウチのシマで勝手やった事、オレの妹分に手ぇ出そうとしたことの計2発で責任とらせてやるよ。

感謝しろー』

ｶﾞｯｺﾞｯ

もう夜遅いから送っていくと稜介は部下に車を持ってこさせる。

「あの、助けていただいてありがとうございます！」
『おー、いいよ。で、何ちゃん？』
「橘日向です！」
『オッケ、日向ね。この時間帯は危ないからあんまり出歩かないようにね』

自分の顔で囁かれることが多い稜介だったが、顔に惑わされることなく普通に接してくれる日向はとても好印象だった。

血濡れの路地裏に和やかな空気が流れるが、そんなことは関係なしにエマは稜介の高い場所にある頬を両手で掴む。

「それより綾兄、隈酷いよ。仕事忙しいのは知ってるけど、ちゃんと寝てよね!!」

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