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82勝 ページ42

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【オマエノ娘ハ預カッタ。娘ヲ返ス条件ハ、KAGUYAノ会長ヲ辞メル事ト身代金。娘ノ命ガ惜シカッタラ精々オレタチニハ逆ラワナイコトダ。】


ルナが帰ってこないと連絡を受け、取引先との会談を中断させて帰宅した颯は送られてきたFAXに膝から崩れ落ちた。

「は、颯くん...」
「...会長は降りるさ。こんな席よりもルナの方がよっぽど大事だ。比べるまでもない。」

隣で泣き崩れているアンナを抱きしめながら、そうキッパリと言った颯の顔は青ざめていた。


颯にとって大切なのは愛する妻と娘だった。2人の為に、2人が幸せで贅沢な生活を送れるようにと、今まで過ごしてきただけだった。

自分のせいで最愛が傷つけられるというならばそんな立場(会長の座)など嬉々として捨て去るし、金で娘が救えるならいくらだって払ってやる。そんな心積りだった。


「ルナを救けることが第一優先だ。

金の準備をしておけ。向こうがいくらを要求してきたってすぐに支払えるようにしておくんだ!」

「「「はいっ!!」」」





_ルナが誘拐されて2日_

今日の昼に、犯人が指定した口座に金を振込み、颯が会長を降りたことを確認出来ればルナは無事に帰ってくるはずだった。



しかし_

「何だと!? 警察が誘拐犯の元に突っ込んで行っただと!?」
「そ、それが、綾小路(あやこうじ)様が警察の方に通報されたそうで...」

通報していないはずの警察が、万が一の為にと調べていた犯人たちの元へと突入したと聞き、颯は慌てる。


「クソッ!やってくれたな...!!」

取引先の相手 綾小路は、正真正銘の善人だった。ずっと昔から対等な関係で取引をしている相手の大切な娘が誘拐されたなら、警察に言うのは当たり前_そう考える人だった。


それは決して間違ってはいない。人として正しい行為だっただろう。


しかし_

警察は知らなかったのだ。犯人が3人ではなく、4人であったことを。

警察は知らなかったのだ。自暴自棄になった犯人の1人が、どうせ捕まるならと人質(ルナ)に拳銃を突きつけるほど追い詰められていた事を。


偶然に偶然が重なった。その結果、この誘拐事件の結末は最悪へと導かれた_


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作者名:蒼月 | 作成日時:2021年6月9日 6時

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