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77勝 ページ37

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ルナにとって、告白というのはとても身近で日常的なものだった。

朝学校に来れば下駄箱にラブレターが置かれ、教室に行けば机の中にラブレターが入れられている。放課後は部活があるから控えて欲しいと頼めば、授業の間の放課休みたい昼に呼ばれ、イベントでは告白の列ができる。


「ルナーお昼行こ!ってあれ?」
「あ、晶ちゃん。ルナ様なら1年生の矢坂君に中庭に呼び出されてたよ」

だから、晶がルナをお昼に呼びに来た時に教室内にいないことも時折あった。

「あーOK。迎えに行ってきまーす」

普段通りのルナならば、どんな事を言われても『ごめんなさい』の一言で済ませてしまうのだ。時間がかかるわけが無い。

そういう訳で、慣れたようにルナの鞄から財布と弁当袋、水筒を取り出した晶は、タッタカターと中庭に急ぐ。

否、急ごうとした。

「うわっ!ちょっと何!? 」

急に制服の裾をグイッと引っ張られ、体制を崩しながらも晶は引っ張った人を見ようと振り向いた。

「あ、あの...五十嵐先輩が矢坂君に呼び出されたって本当ですか...!?」
「あーえと...確か1年の生徒会役員の陽葵ちゃんだっけ?」

晶も何度か会ったことのある陽葵は、いつもの元気いっぱいな様子とは打って変わって、青ざめて震えている。

「どうしたの?」
「わ、私、この前矢坂君が怖そうな人達と話してるの聞いちゃったんです...「何度も俺を振り続ける生意気な女に痛い目合わせる」って言ってて...!! しかもそれが中庭なら...」



陽葵の震えている声に、晶もサッと顔色を変えた。

帝光の中庭は、とても広い。それ故に木が覆い茂り、人目につかないところがあって、そこが主な告白スポットとなっている。そしてそこは校外の大きな道路に面しており、部活の道具などの搬送場所にもなるため、フェンスが開くようになっている。

言うならば、絶好の拉致スポット。


「アンタはA組の虹村修造と先生に事情説明してから男子中心に声掛けて中庭にこさせなさい!」

晶はルナと自分の荷物を適当な女子に渡すと、そしてそのまま一目散に中庭に向かって駆け出す。

陽葵と話していた時には周りに何人かの生徒もいた。人気者のルナの事だから、そこから一気に話が回るはず。



廊下をダッシュで駆けている晶に注意する先生は生憎といない。この時間帯は先生もお昼で職員室にこもっているからだ。

「チッ タイミング狙いすぎでしょ!」

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作者名:蒼月 | 作成日時:2021年6月9日 6時

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