75勝 ページ35
.
その日、珍しくルナは学食でお昼を食べていた。いつもと違うのは、ルナの傍に晶と虹村はおらず、さつきがいること。
「ルナ様が学食...!!」
「食べる姿も美しいわ!」
「あの一緒に食べてる子ずる〜い」
相変わらずの周りを微塵も気にせずにサラダを口に運ぶルナに対して、ここまで注目されることに慣れていないさつきは居心地が悪そうにしている。
『それで、話は昨日のダイの事よね』
「あ、はい。あんな青峰君初めて見て...」
『...私はダイ達の才能を開花させるような練習を組んできた。
もちろん、彼らの才能が開花した事によって試合は楽に勝てるようになり、それと同時に苦しむ未来がある事も知っていた。
でも、同じ悩みを抱える仲間がいれば1人よりもずっと楽になる。
私はそう思うんだ。』
「ルナさん...?」
『さつき、お前は私がダイ達を苦しむ未来に進ませたことを恨むか?』
いつもよりも男勝りな口調でそう言ってさつきを正面から見つめるルナだったが、さつきからしてみれば『恨むか?』と聞いているルナこそが、1番後悔しているように見えた。
才能の開花が決して楽な道ではないことを知っていた。
それでも彼らの覚醒を見てみたかった。
更に上に上がれることを教えてあげたかった。
そして、
「恨みませんよ。苦しむ未来があるなら、私も一緒に背負います。彼らを1人になんてしませんから!!」
『そうか...ありがとう。
1つと言えど、同い年でない私には分かり合えないことがある。
だから、さつきが彼らを支えてやってくれ。』
.
157人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:蒼月 | 作成日時:2021年6月9日 6時