60勝 ページ19
学校の生徒の一人一人の顔と名前、所属クラス部活を把握しているルナ。
彼の名は園田大地。前生徒会役員の会計だった園田大樹の弟である。兄と同じく陸上部に入部し、1年にして短距離のエースになっている。
流石エースと言ったところか、チラと視ただけでスプリンターに必要な筋肉がついているのがわかる。これなら兄の大樹がよく自慢していたのも頷ける。
『園田先輩の...』
「はい。弟の大地です。」
ペコりと頭を下げた大地は、手に持っていた手紙をルナに差し出した。
「これ...兄貴からです」
彼からルナへのラブレターだと思っていたクラスメイト達は「園田先輩がルナにラブレター!?」と慄いていた。
園田大樹という男には一定数のファンがおり、陸上の大会などには応援団が駆けつけるというのはそこそこ有名な話だったはずだ。それこそ生徒会役員の中では告白される回数もルナに次いで多かった。
『そう...』
形の整った眉をピクリと動かしたルナだったが、そう言っただけで受け取ろうとはしない。
ラブレターだか何なのかは知らないが、普段から代人の物は受け取らない主義を貫いているルナ。それがかつての先輩であろうとも変わりはない。
「すみません。兄貴は今県外の高校に行ってるんです。五十嵐先輩の事も聞いてるんですが、これ渡さないと兄貴にドヤされるんで...
そろそろ授業が始まるので失礼します。」
困ったように話していた大地だったが、そっと机に手紙を置くと時計を見て、ルナに一礼してから教室から出ていく。
その背中を見送る。
あーホント、こういう変にマイペースな所あの人にそっくり。兄が兄なら、弟も弟ね。
卒業式間近で告白してくる先輩増えたの知ってて生徒会室で告白してきた挙句、返事はいらないからって言ってそのまま県外に進学するなんて非常識の塊ね。他の人を見習って欲しいわ。
あの人はもっと真面目な人だと思っていたのに。
たとえ"
別に付き合うつもりなんて毛頭ないけど、返事ぐらいさせなさいよ。
心の中で一人愚痴ったルナは顔には出さないものの、そこそこイラついたまま机に置かれた手紙に手を伸ばした。
⿴⿻⿸
唐突に、園田先輩らの絡みが書きたかったんです。
前に園田先輩は夢主の事が好きだって書いてそのままだったので。
いつか青峰のも書くつもりです。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 157人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蒼月 | 作成日時：2021年6月9日 6時
