月の女神は勝利を誓う NO.2 (ページ1)

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交流戦で優勝した帝光中の面々は会場を後にする。当たり前のように開けられた人の道を歩く姿はまさに王者の風格だ。

「あれ、ルナさんは？」

ルナ大好きの青峰はいち早くルナの姿がないことに気がつくと、先頭を歩いている虹村と晶に聞いた。

「ルナとは外集合だよ」
「んなッ!!そんなの、危ないじゃないですか!!」

リアル ”立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花” 状態のルナは、どこにいても何をしていても必ずと言っていいほど声をかけられる。

だから普段はルナや晶の傍には必ず1人は男がいるようにしているのだが、今日連れてきているのはベンチメンバーのみであり、ルナは1人でいることになる。

「んなの、ルナがこっちに来よーが、俺らが向こうに行こうが変わんねぇよ。どちらにせよ、どっかで声かけられてんだから」

「なら早くルナさんところ行った方が...!! ((「「青峰、落ち着け／くのだよ」」

焦る青峰を赤司と緑間が窘める。

「まあ、ルナのスルースキルは半端ないから大丈夫」

☆

虹村と晶の言う通り、外で待っていたルナは他校生に囲まれていたが、ガンスルーしていた。

「ねぇねぇお姉さん。俺らと遊ばない？」
「君、かわいいね。名前おしえてよ」
「LINE教えて」

周りに群がる男共にルナは見向きもせず、スマホをいじる。

ルナにとって、これぐらい日常茶飯事だ。

シンスケばあちゃんの作った野菜、大量に余ったからそっちに送ったで
ルナ本当?ありがとう
ルナシンスケのおばあちゃんの作った野菜、美味しいからすごく嬉しい
シンスケばあちゃんの作ったもんは世界一やからな
シンスケまた休みにこっち来いや。ばあちゃんもルナと会うの楽しみにしとんで
ルナ私もおばあちゃんに会いたい。出来たら今年の夏にそっちに行くね
シンスケおん、待っとんで。こっから暑くなるから熱中症には気をつけえよ
ルナシンスケもだよ。ないとは思うけど、無理のし過ぎはダメだからね

兵庫のルナの祖母の家の隣に住んでいる、1つ上の北信介とのLINEを楽しんでいる間にも、ナンパ男共はルナに振り向いてもらおうと必死で話しかけている。

そんなことも気にせずに時間を確認したルナは顔をあげた。丁度目の前にいた男共は、ルナの翡翠色の瞳と目が会い、固まってしまった。