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カトレアは、オリバンダーの店で杖を選ぶ日を本当に心待ちにしていたが、それと同時に警戒もしていた。
原作ではハリーが杖を選ぶ際、まるでオリバンダーがハリーに開心術をかけているような描写があった。
もし、オリバンダーがカトレアに開心術をかけたら、前世の記憶ですら見せることになってしまう。
もちろんこれは、オリバンダーに限らずダンブルドアも同じだ。
この世界の人間に起こりうる未来を見せるほど恐ろしい事は無い。
だから、カトレアは生まれてからずっと閉心術の練習をしてきた。
一般的な魔法やなんかとは違い、これには呪文なども何もなく只々己の心を閉ざすしかない。
しかし幸か不幸か、カトレアには閉心術の才能があった。
未だ開心術をかけられた事がないカトレアが知るわけもないが、セブルス・スネイプと同等かそれ以上の才能が。
☆
「さて、それではエバンズさん。拝見しましょうか」
そう言ったオリバンダーは、銀色の長い巻尺をポケットから取り出した。
体の至る所を測りながら、オリバンダーは話し出す。
「エバンズさん、オリバンダーの杖は一本一本、強力な魔力をもったものを芯に使っております。ユニコーン(一角獣)のたてがみ、不死鳥の尾羽根、ドラゴンの心臓の琴線。オリバンダーの杖には一つとして同じ杖はありません。一角獣も不死鳥も皆んなそれぞれに違うんです。もちろん、他の魔法使いの杖を使っても、決して自分の杖程の力は出せない訳じゃ」
カトレアとしては、そんなことは重々承知していた。前世で何度も何度もハリーやヴォルデモートが杖に選ばれ、杖が自分に合っていないのを見てきたのだ。
だが、杖に関してのスペシャリストが言うことは重みが違う。
オリバンダーは、巻尺を回収すると棚の間を飛び廻り、いくつかの杖が入った箱を持ってきた。
「ではエバンズさん、これをお試しください」
「柳の木にドラゴンの心臓の琴線、32cm。しなりがよく、主人に忠実」
渡された杖を持った途端、あっという間にオリバンダーに奪われ、次の杖を渡される。
「ハンノキの枝にユニコーンの尾の毛。固く、頑固」
_ここよ_
さあ、と差し出された次の杖に手を伸ばした時、どこからか鈴の音のような声が聞こえ、カトレアは伸ばしていた手をピタリと止めた。
「ん?どうか致しましたかな?」
_ここよ、私はここにいるわ_
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雅 - とても面白いですっ!!物語が丁寧だし読みやすい…更新頑張ってください!! (2月6日 22時) (レス) @page8 id: cc7c78e963 (このIDを非表示/違反報告)
スイ(プロフ) - ものすごく面白いです!!更新頑張ってください! (2021年11月29日 19時) (レス) @page45 id: a84d0456a3 (このIDを非表示/違反報告)
宵桜の館(プロフ) - 蒼月さん» はい!私のイメージだとそうです!! (2021年9月27日 10時) (レス) id: b0c551b146 (このIDを非表示/違反報告)
蒼月(プロフ) - 宵桜の館さん» なるほど!! 例えば、夢主の近くにいる不死鳥をフォークスのような紅だとしたら、夢主のアニメーガスはONEPIECEのマルコのような蒼_とかで合ってますか? (2021年9月26日 12時) (レス) id: 1cda098b14 (このIDを非表示/違反報告)
宵桜の館(プロフ) - 初めまして、楽しく読ませてもらっています!不死鳥は、色を変えてみては如何でしょうか?あくまで個人の意見ですし、蒼月さんの考えに添えているか分かりませんが... (2021年9月26日 12時) (レス) @page43 id: b0c551b146 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼月 | 作成日時:2021年5月20日 21時