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お互いにお互いの目を見つめ合ったまま数秒＿先に折れたのはカトレアだった。
『...ﾊｧ 有難く受けとらせてもらうわ。』
「ああ、そうしてくれ。」
ため息を吐きながら受け取ったカトレアに、アシェルはほんの少し口角をあげた。
アシェルは基本いつでも無表情なのだが、別に全く笑わないという訳では無い。
面白いことがあれば大声で笑う＿なんてことは無いがクスクスと上品に笑うし、カトレアなどの気の許せる相手の前ではいつの間にか口角が上がっていることの方が多い。
スリザリンではいつだって媚へつらわれ、フォーリーの栄光に縋りつこうとする者がいる。
だからアシェルは寮では自分を出さない。
スリザリン所属のフォーリー･アシェルに笑顔は必要ない。
フォーリーを求める奴らにとって、自分は冷酷で残忍であればあるほどいいのだ。
でもたまには表情筋も動かさないとこんな無表情のまま固まってしまうから。
「(君と出会えて本当に僕は幸運だよ。いや、運命なのかもしれないな。)」
本を読んでいたカトレアだったが、自分が本に夢中になってしまっていることに気づいたのかパッと顔を上げた。
『ごめんなさい、つい夢中になってしまって...』
「構わないさ。それから本は君へのプレゼントだから返さなくて結構だよ」
なんでもないかの様に言ったアシェルにカトレアは目を見開く。
どう見たって、この本はとても貴重なものだ。
本の内容然り、出版社や外装のボロボロ具合から見ても既に販売はしていないのだろう。
『こんなに貴重なもの貰えないわ！』
慌てて本をアシェルに返そうとするが、「これはもう君のだよ」と押し返される。
「いいかい、カトレア。これは君に必要なものであって僕には必要のないものだ。僕には今後魔法を創る予定はないし、もし魔法を創りたいと思っても家には書庫があってこの本以外にも魔法創作の本はある。少なくとも、この本が“今“必要なのは君だ。」
カトレアの白く細い指を本を持つように支え、その深緑の瞳を下から覗き込むようにして目を合わせた。
『…わかったわ、とりあえずは貰っておきましょう。でも！あなたが、あなた達がこの本を必要としたときにはきちんと言ってちょうだい。』
「ああ、勿論さ」
「コホンッ 本の貸し借りも楽しいお喋りも、甘酸っぱい青春も大変結構ですが、いくら人の少ない奥まった場所とはいえここは図書館です。相応しい態度で過ごすようお願いしますよ。」
「『はい...すみません。』」
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雅 - とても面白いですっ！！物語が丁寧だし読みやすい…更新頑張ってください！！ (2月6日 22時) (
レス) @page8 id: cc7c78e963 (このIDを非表示/違反報告)
スイ(プロフ) - ものすごく面白いです！！更新頑張ってください！ (2021年11月29日 19時) (レス) @page45 id: a84d0456a3 (このIDを非表示/違反報告)
宵桜の館(プロフ) - 蒼月さん» はい！私のイメージだとそうです！！ (2021年9月27日 10時) (レス) id: b0c551b146 (このIDを非表示/違反報告)
蒼月(プロフ) - 宵桜の館さん» なるほど!! 例えば、夢主の近くにいる不死鳥をフォークスのような紅だとしたら、夢主のアニメーガスはONEPIECEのマルコのような蒼＿とかで合ってますか？ (2021年9月26日 12時) (レス) id: 1cda098b14 (このIDを非表示/違反報告)
宵桜の館(プロフ) - 初めまして、楽しく読ませてもらっています！不死鳥は、色を変えてみては如何でしょうか？あくまで個人の意見ですし、蒼月さんの考えに添えているか分かりませんが．．． (2021年9月26日 12時) (レス) @page43 id: b0c551b146 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼月 | 作成日時：2021年5月20日 21時
