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鋭く尖った銀色の針を思い浮かべて杖をマッチ棒に向ける。
マッチ棒は瞬く間に銀色の針に変わり、その様子を見ていたマクゴナガルは息を飲む。
今までに1度でこの魔法を成功させた生徒がいただろうか。
それも親族に魔法使いがいる訳でもなく、杖を持ったのはつい最近。
この少女は本物の天才ではないだろうか。
それも、ダンブルドアをも越してしまうような。
「カトレアできたの!?」
「すごい!!」
両隣に座っていたオリビアとソフィアがカトレアが成功したことに気づいて声を上げる。
それに近くのグリフィンドール生が一斉に覗き込んだ。
カトレアが褒められ、質問攻めにされているところを、マクゴナガルは手の中にあった針をすくい上げて生徒たちに見えるようにする。
「流石ですね、エバンズ。この針を見なさい。本物と遜色ない銀の色と鋭い尖り。成功させたエバンズに5点!!」
厳しいマクゴナガルがカトレアに微笑み、更に5点も追加したことでグリフィンドール生達は沸き立つ。
マクゴナガルから返してもらったそれにもう一度杖を振れば、針はマッチ棒に戻り、何度かそれを繰り返す。
魔法とは
もちろん魔力も大切だが、自分が何をどうしたいのか明確なイメージがなければ何も起こらなかったり、中途半端なものが出来上がる。
今カトレアが想像したのは、家で母が使っている刺繍針だ。
なんの装飾もなく、ただただ光を受けて銀色に煌めいているだけのシンプルな針。
しかし、カトレアは驚いていた。
確かに自分はこの針を想像し、杖を振って魔法を使った。
でも、まさかこんなに簡単に出来るとは思ってもいなかったのだ。
杖に選ばれるまでは、自身の有する膨大な魔力でゴリ押しして魔法を使っていた。
所謂"力技"と言うやつだが、カトレア程の魔力を持っていれば、杖がなくても初歩的な魔法なら使えてしまった。
でも、複雑な理論を必要とする変身術はどう頑張っても出来なかった。
今、カトレアの白くて細い指には美しく彫刻の掘られた漆黒の杖が握られている。
オリバンダーの店でこの杖に選ばれてから、いくつかの魔法を試した。
今まで自分が杖無しで無理やり魔法を使っていたのがバカバカしく思えてしまうほど、魔力の変換効率がが良くて、想像以上に楽に魔法を使うことが出来たのだ。
手の中にある杖が、まるで自分の力を自慢しているかのようにほんのりと暖かく熱を伝えてきた。
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雅 - とても面白いですっ!!物語が丁寧だし読みやすい…更新頑張ってください!! (2月6日 22時) (レス) @page8 id: cc7c78e963 (このIDを非表示/違反報告)
スイ(プロフ) - ものすごく面白いです!!更新頑張ってください! (2021年11月29日 19時) (レス) @page45 id: a84d0456a3 (このIDを非表示/違反報告)
宵桜の館(プロフ) - 蒼月さん» はい!私のイメージだとそうです!! (2021年9月27日 10時) (レス) id: b0c551b146 (このIDを非表示/違反報告)
蒼月(プロフ) - 宵桜の館さん» なるほど!! 例えば、夢主の近くにいる不死鳥をフォークスのような紅だとしたら、夢主のアニメーガスはONEPIECEのマルコのような蒼_とかで合ってますか? (2021年9月26日 12時) (レス) id: 1cda098b14 (このIDを非表示/違反報告)
宵桜の館(プロフ) - 初めまして、楽しく読ませてもらっています!不死鳥は、色を変えてみては如何でしょうか?あくまで個人の意見ですし、蒼月さんの考えに添えているか分かりませんが... (2021年9月26日 12時) (レス) @page43 id: b0c551b146 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼月 | 作成日時:2021年5月20日 21時